みーちゃん

未知への飛行のみーちゃんのレビュー・感想・評価

未知への飛行(1964年製作の映画)
4.5
シドニー・ルメット監督が描く洗練された緊迫感に、一瞬も目を離すことができなかった。なんと、1964年の作品なの⁈と驚く。だって劇中の会話も演出も古臭さとは全く無縁。むしろ斬新に感じる。限られた空間と登場人物で、こんなエキサイティングな世界が作れるなんて!

原題のFAIL-SAFEという概念にも痺れた。自ら設計したルールに対し、その遂行能力が高いだけに、自ら苦しめられるという皮肉が面白い。

人物描写も秀逸。特に印象的なのはボーガン将軍と部下の大佐。生い立ちや家庭環境をちらりと察するシーン。ストーリーとは全く関係ない一瞬だけど、あれがあるのとないのでは大違いだ。終盤の2人の対立の見方が全く変わってくる。何も無ければ無いままで終わってしまうところに、キラリと光るドラマを生み出す映画の力に改めて感動する。

そしてヘンリーフォンダは、やはり存在感に華がある。人間性とリーダーシップで理想の指導者像を体現していた。だからこそ、彼が下した決断は、より一層リアルで凍りつく。