安堵霊タラコフスキー

リオ40度の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

リオ40度(1956年製作の映画)
4.9
2010年に講演でネルソン・ペレイラ・ドス・サントスの姿を見たときから、いつ亡くなってもおかしくないくらいの高齢だと思ってはいたけど、いざ亡くなると当然ながらもやはり哀しい気持ちになる。

そんなこんなで追悼の意味を込めて記憶を頼りにこの作品について少し言及したいけど、映像が粗く人物の演技にも若干拙いところが見られたとはいえ、当時のブラジルの生活感溢れる描写は実に新鮮だったし、土地の高低差を活かした立体的構図や多数の人間を一つの画面に収める手腕にも感動したのをよく覚えている。

ブラジルにおけるシネマ・ノーヴォの先陣を切る作品として、ロッセリーニの無防備都市やゴダールの勝手にしやがれといった他の新時代を切り拓いた傑作同様映画史に遺り続けるべき映画で、機会があれば是非とももう一度鑑賞したい逸品。