回想シーンでご飯3杯いける

アフター・ウェディングの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

アフター・ウェディング(2006年製作の映画)
3.8
名作「偽りなき者」と同じマッツ・ミケルセンが主演。この人は追い詰められたり、悩まされたりする役が似合う。

インドで孤児院を運営する主人公ヤコブに、デンマークの実業家から多額の出資申し出が入る。突然の申し出に戸惑うも面会に応じるヤコブ。申し出に隠されたもうひとつの目的が徐々に明るみになっていく。

とにかく謎が多く、なかなか話の筋道が見えて来ないのだが、登場人物がその謎の中で僕達観客と同じように戸惑う描写を盛り込むことで、没入度を高める演出がお見事だ。パケ写のシーンを筆頭に、周囲の様子を探るような目の演技が印象的な作品である。

最終的に明るみになる真実は、実業家ヨルゲンの愛のようでもあるが、それが誰に向けたものだと感じるかで、本作の見え方も変ってくるだろう。僕には48歳になる彼の行動が子供っぽく利己的に思えたのだが(所謂富裕層に多いタイプ)、作者が描こうとしていたものと一致していたかどうかは分からない。