このレビューはネタバレを含みます
終盤は結構ムネアツになってしまった。
不良少年グループのリーダー格モーゼスが看護師のサムから金銭と指輪を強盗した後空から降ってきた生物を殺す。見たこともない生物で高く売れるのではないかと団地の中にあるマリファナの栽培室で預かってもらうが...。
謎の生命体が次々と襲ってきて逃げる。サムも途中からモーゼスたちと一緒ににげる。なぜ南ロンドンのこの団地だけ局地的にエイリアンがおそってくるのか。
B級SFとしても面白いが南ロンドンの団地で子供たちが直面する現実問題もなかなかうまく投影していてはっとさせられる。
エイリアンがなぜ局地的に襲ってくるのかの説明もされるがそれは15才のモーゼスが否応なく直面してきた現実のようにも見えて。
現在「Doctor Who」でドクターを演じているジョディ・ウィッテッカーがサムを演じている。サムは当初強盗の被害者なのだがモーゼスの現実を知るにつれ彼を理解していく。といっても突然同情的になるわけではない。モーゼスにきちんとものの善悪を話す。同じ団地の住人ということも手伝ってかモーゼスは彼女のいうことを案外きく。終盤かれの家の中が初めて映るがそれで彼が完全にネグレクトされていて生きるためには自分でどうにかするしかなかったというのがわかる。「the wire」や「Top Boy」などでも子供たちがお互いに面倒を見合っていた。生活のためのお金をくれるのがドラッグの売人だけというのが問題なのだ。
サムの彼氏は医者でガーナに行っているが「イギリスの子供のことは助けてくれないのか」というセリフもなかなか痛烈だ。学校をでたての看護師のサムがこの団地で暮らすというのも学生ローンの返済なども絡んでいるのかもしれない。
そんな重たい話は微塵も感じさせることはなくこの映画は爽快に終わるのだけれども。
モーゼスを演じていたのがSWのフィン役でお馴染みのジョン・ボイエガ。カリスマ性があるというのかモーゼスにぐいぐい引き込まれていた。