向き合うのが難しい映画。
物心ついた時には、これは名作だよとかサイモン&ガーファンクルがどうとかサウンドオブサイレンスに感動したとかラストシーンが最高とかテレビや雑誌やに刷り込まれ、しまいにゃテレビでドヤ顔でラストシーンを見観せられた日にゃ冷静な判断なんか出来るわけない。
多分小学生の高学年の頃、俺は併映作品目当てで(併映が何か思い出せない。)卒業なんか一切興味ないんだぞという体で、白目向いたりあくびしたりしてたけど、ダスティンホフマン演じる父っちゃん坊やがただただ街をとぼとぼ歩くときに流れる曲で立ち止まった。座ってはいたが。
スクリーンの下はセリフ。曲の和訳はスクリーンの右に縦書きで描かれる。今でもそうだよね。
「パセリセージ、ローズマリーとタイム」
何度も繰り返される意味はよくわからないその呪文のような言葉。
たとえ自業自得でも失ったものに気づき後悔する。切ないものは切ない。たとえ父っちゃん坊やでも。
はた迷惑なラストシーンには興醒めだけど、とぼとぼ歩くダスティンホフマンとスカボローフェアーを今でもたまに思い出す。
その後「パピヨン」と「真夜中のカーボーイ」を観て心の中でダスティンホフマンに謝った。