福福吉吉

男たちの挽歌Ⅲ アゲイン/明日への誓いの福福吉吉のレビュー・感想・評価

3.5
◆あらすじ◆
1974年のベトナム戦争末期のサイゴンにマークは従兄弟のマンやその父を香港へ連れ戻しにやってくる。入国の際のトラブルでマークは通りがかりの女性に助けられ、無事入国することができた。マンの父はベトナムで店を開いていたが、金銭的に苦しくそのためにマンは南ベトナムの軍曹のボンと裏取引で稼いでいた。マークもマンと共に行動するが、その取引の仲介に現れたのは空港でマークを助けた女性のキットだった。ボンの裏切りにより命の危険に晒されるマークとマンだったが、キットの奮戦により再び助けられる。マークとマンはキットに好意を持つようになり...。

◆感想◆
ベトナム戦争により状況が悪化した南ベトナムを舞台に主人公とその従兄弟が裏社会の女ボスと出会い、3人は友情と恋愛の狭間で揺れ動きながら裏社会の争いに巻き込まれていくストーリーとなっており、ベトナムの戦況と3人の恋愛事情に裏社会の争いとかなり設定が込み入ったものながらも、その他のキャラクターの活躍もあって先の読めない面白さがありました。

マーク(チョウ・ユンファ)は南ベトナムのサイゴンで商売を営む叔父親子を香港に連れ戻すためにベトナムに入国するのですが、当時のベトナムの状況を反映して、入国審査が鬼のような荒々しいものになっていて、本作では入国・出国のハードルの高さが頻繁に描かれます。マークは入国の際に同じ中国人の女性のキット(アニタ・ムイ)に出会い、その縁でマークとキットの関係が継続していきます。

その後、マークは従兄弟のマン(レオン・カーフェイ)とともにキットと連れ添うことになり、3人の間で恋愛関係が描かれていきます。マークもマンもキットに好意を持つも、キットはマークに惚れていて、そしてマークはマンのために身を引くというありがちな展開が続いていきます。ストーリーの前半はベトナムでの3人の関係を軽い感じで描いていて、ベトナムという国の特殊さはあるものの、分かりやすいものでした。

ストーリー後半になり、マークはマンの親子と共に香港に渡るのですが、そこでキットの恩人で元カレ(?)のホー(時任三郎)が現れて、キットに近づくマークたちを襲い始めます。ホーの存在はかなり異質で、それでいて力こそ全てとばかりに暴力をもってマークたちを排除してきます。ホーがキットを大事に思っていることは分かるのですが、近づいたマークたちの店を爆破して叔父さんが亡くなるという痛ましい展開はぶっ飛び過ぎていて、訳が分からなくなりました。

ストーリー終盤になると、マークの叔父が世話していた現地の子供のパットが現れ、マークたちの窮地を救い、最後までランボーばりに大活躍します。パットはストーリー前半から登場していたのですが、チョイ役だと思っていたパットが大活躍するラストは予想できないものであり、誰が主人公なのか分からない感じでした。

アクションシーンは裏社会で生きるキットの銃さばきがとてもカッコ良く、多くの敵相手に二丁拳銃で無双する姿はマークたちの存在を喰っていたと思います。マークとマンはあくまで一般人なのでどこか鈍くさいアクションで戦い慣れしているキットと差別化していて面白かったです。

色々な要素をてんこ盛りの内容ながらも、ストーリーが最初はコミカルで徐々にシリアスさが増していく流れがとても観やすく、最後まで興味の尽きない作品でした。なかなか面白かったです。

ちなみに「男たちの挽歌」のシリーズと一切関係ありません。タイトルで客を呼ぼうとしていることがバレバレですね。

鑑賞日:2025年9月2日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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