ろく

007/ムーンレイカーのろくのレビュー・感想・評価

007/ムーンレイカー(1979年製作の映画)
3.8
ロジャー・ムーア版の007の醍醐味はへなちょこさだと思っている(今の007では見られないくらいのへなちょこさだ。そこがいいんじゃない)。

もう見ていてもにやにや、バタバタが止まらないのである。なんだこれなんだこれで僕は大好きなんだけど万人に好かれるかというと疑問。今のスピーディな映画に慣れている人にとってはなんだこの大駄作はってなるんだけど、007なんてそもそも緊張感なんかかまして見るもんじゃないの。ずっと弛緩&弛緩で観ればいいんだよって思う。

今作の大好きな一番の理由はジョーズ(リチャード・キール)がいるから。もう彼だけで大好きってなるんですよ。

だって
①基本怪力だけ。怪力で鉄パイプ曲げます。ロープウェイ止めます。ロープウェイのワイヤーを噛み切ります(無理だろ)。
②どこに落ちても生きている。まず冒頭からスカイダイビング、パラシュートなしで生きてます。まあサーカスのテントに落ちたからだけど、それでも無茶じゃねえ?その後はロープウェイが落ちても無傷。イグアスの滝から落ちても無傷。さらには宇宙空間からも生存。大丈夫かリチャード・キール。もはや彼は不良番長の山城新伍と同じ立ち位置です。ちなみに落ちる前には必ずリチャードキールが顔芸を見せてくれます。必見です。
③そして好きな相手(女子)は低身長ロリ眼鏡少女(でも巨乳)。彼女のためなら裏切りもする。現代版フランケン。そんなリチャード・キールにリスペクトが止まらないです。

そして一向われらがボンドのロジャー・ムーアも何度も死に目に会いながらも決して死なないという親切設計です。あの、敵方も何度となく殺すチャンスあったと思うんですけど。ひどいのになると棍棒で昏倒させる(韻をふむ)シーンまであるんだけどそんなことする前に銃で撃てば良くねえって話ですよ。あ、竹刀で襲われるシーンもあった。やる気あるのか?さらには巨大アナコンダに襲わせるシーンもあるけどこれも銃で撃てば良くねえって話です(ちなみにアナコンダはぬいぐるみです。口がぱかっとあいてます。可愛い)。

ちなみにボンドとセックスした女性は結構な確率で死にます。今回も無惨にドーベルマンに襲われてしまいます、まあ襲われたと思ったら画面変わってますけどね。

最後は宇宙空間でのとほほバトル。もはや逃走中ザ・ムービーとどこに違いがあるんだろうと訝しく感じてしまいます。レーザー光線を浴びると吹っ飛ぶ敵・味方。ザ・大味。これぞ007です。さっきまで宇宙空間でふわふわ浮いていたのに銃撃戦だとしっかり地に足をつけて歩きます。無重力はどこに行ってしまったのでしょう。

終りはおなじみ無重力セックスです。まあボンドですからそこは当然。これこそ70年代の活力です。戦って勝ち、セックスする。今でしたらありえないマチズモの原理ににやにやが止まらないです。

というわけでロジャームーアのどうでもいいアクションを見ましょう。そしてとほほな気分になりましょう。僕はそれでも最後は喰い入って見てましたよ。

※今回のボンド・ガールの名前はグッドヘッド女史。博士だからグッドヘッド(頭がいい)なのかと思ったけどボンドだからどうせ隠語かと思って調べたらやっぱり。グッドヘッドはフェラチオ上手という意味もあるらしい。馬鹿だなぁ。まあ歴代そんな名前ばかりだからね。

※今見ると改めてロジャー・ムーアのアクションの酷いことににやにやする。これ正月のかくし芸大会で井上順がやっているレベルです。いいんです。いいいんです。ロジャー・ムーアはそれでいいんです。
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