カテリーナ

BULLET BALLET バレット・バレエのカテリーナのレビュー・感想・評価

3.6
死と雨と暴力と鮮烈な魅力のヒロイン

強烈な魅力を放つ三白眼の真野きりな これほど塚本ワールドにぴったりの女優はいない モデル出身の驚くほど細い身体で小鹿のよう 黒いタイトなミニスカートで覆われている その下の長い脚は 真っ直ぐ伸び 少年のようである
口元に痣を残し 踊るダンスが 幸福など微塵も求めていない 刹那的な魅力を振りまく
鉄の棒を握りしめ 三白眼の矢のような視線を向ける先に エクスタシーがあるかのように 走る 走る
暴力に取り憑かれた 恐ろしいキャラクターになりきっている 嫌、憑依している
私も又 彼の作品に取り憑かれていると言える 映画雑誌のプレミアムがまだ 発行されていた頃から ずっと憧れ続け 見るのを避けてきたのだ 暴力にどう向き合っている作品なのか 直視するのが怖かったからだ
この矛盾と 時々 対峙し 無視続けた私は
塚本晋也に取り憑かれたと言っても過言では無い
塚本晋也演じる恋人が拳銃自殺を遂げた合田と出逢い 不思議な因果に結ばれる二人
いつもながら 全く 脈略もなく 出逢い 惹かれ合う二人は 今作でも いつの間にか 肩を並べて 恐怖と闘っている 合田の手には リボルバー そんな所に突っ込みを入れる必要のない作品なのだ

モノクロでは 飛び散る血潮が黒い色で助かるが いつもの急かされるような雨音と雨樋を流れる透明な水 真野きりなの顔に這う黒いリボルバーと交互に流れる透明な水の音に性的なエクスタシーを感じさせて エロティックこの上ない
合田の部屋のバスルームを 覗くだけで こんなサスペンスを感じるとは思わず
不意を突かれて愕然とする 全く 塚本作品は片時も安心することは出来ない
何をどう、解釈すれば良いかわからないまま 軽快な音と共にエンドロールが流れ始める


井川比佐志の怪演が冴える
カテリーナ

カテリーナ