michi

ブロークバック・マウンテンのmichiのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

とても評価の高い作品ですが、何やら「悲しい話」と聞いていたのでなかなか手が伸びなかったのです。
でも、いざ観てみると問題はそんなところではなかった。ストーリーは自分でも虚しくなるほど何が良いのかさっぱり分からなかった。ごめんなさい。

まず、私はジャックとイニスはいつの間にそんな惹かれあっていたのか気づけなくて置いてきぼりを食らった。
なぜ殴り合うほど別れるのが辛かったのか、一人で嗚咽を漏らすほど離れるのが辛かったのか、分からなかった。
愛し合う運命だったということなのか、と腑に落ちないながらも設定を理解したつもりで観ていたが、その後はただただイニスの奥様アルマが不憫。
忘れられないほど愛している人がいながらちゃっかり他の人と結婚して家庭を持って、家事子育て一切を任せて不倫するって、なんなんだろう。
しかもイニスは同性を愛していることがばれるのをかなり恐れているのに、奥さんの可視範囲であれは理解不能。
相手の性別に関係なく、他人と愛し合う夫の姿を見てしまったらどれだけ傷つくことか。言葉を失うアルマの表情に心が痛んだ。

今よりも同性愛への目が厳しい時代で彼らは「男らしく」いなくてはいけなかった背景があったにせよ、もっと本人たちも周りも幸せになる生き方があっただろうに。恵まれた現代人目線で観るとそう思ってしまう。

ストーリーは刺さらなかったけれど美しい映画でした。
結末云々より、ヒース・レジャーの素晴らしい演技がもう見られないのが悲しいのです。イニスの物静かでも内に秘める熱が滲み出る感じ、すごい。
そして、羊の群が素敵だ。もふもふの白いのがたくさんいるシーンが(見るだけなら)なんだか幸せ。
放射冷却で凍てつく空気が伝わってくるようなブロークバックマウンテンの美しさが印象に残る。
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