◆あらすじ◆
1963年、イニスとジャックはブロークバック・マウンテンで牧羊の番をする仕事を就き、2人は過酷な環境の中で愛し合うようになった。仕事の終了と共に2人はそれぞれ妻をめとり、家庭を築いていたが、その裏では会いたいという思いが募り、我慢できなくなっていく。
◆感想◆
1963年のアメリカ・ワイオミング州ブロークバック・マウンテンを舞台に愛し合うようになった2人の若者の姿を描いた作品であり、同性愛が許されなかった時代の中で社会の目を憚りながら逢瀬を重ねる2人の変わらない想いが心に伝わってきました。
イニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)は仕事を求めて牧場主のアギーレから牧羊の番をする仕事を請け負います。山中で野営しながら毎日を過ごす中で、彼らは友情を深め、そして一線を越えてしまいます。同性愛という部分がどうしても目を惹きますが、2人の関係がその後も続いたことを考えても、極めて真剣な交際だったと思います。
しかし、現実問題として1963年当時から考えると同性愛というものが嫌悪や迫害の対象となっていて、イニスは過去に殺害された同性愛者の惨たらしい姿を見ていたこともあって悲観的に捉えていて、イニスへの思いを隠さないジャックとの間に差異がありました。イニスがブロークバック・マウンテンでの仕事を終えるとともに婚約者のアルマ(ミシェル・ウィリアムズ)と結婚したのも、区切りをつけたかいイニスの心情を現していました。
ストーリーが進み、イニスとジャックがそれぞれの家庭で生活を続けながら、定期的に2人で会って愛し合うのですが、イニスはアルマがジャックとの関係を知ってしまい、離婚することになります。個人的には本作で一番の衝撃的な瞬間でした。イニスとジャックの愛情の深さを示す出来事であるとともにアルマにとって家庭の崩壊に直面する絶望的な瞬間だったと思います。そこには同性愛である点と自分以外の人と愛し合っている点の2つがあってアルマの気持ちは計り知れないものがありました。
ラストもかなり衝撃的でしたが、2人の愛情が恒久的なものであったことを感じさせるシーンになっていて、切なくそれでいて美しく感じました。
2人の男性が長きにわたり愛し合った姿が外連味なく描かれていて、それには性別の差異を問わない深みがあって最後まで目の離せない作品となっていました。とても良かったと思います。
鑑賞日:2025年3月26日
鑑賞方法:Amazon Prime Video