めぐ

ブロークバック・マウンテンのめぐのレビュー・感想・評価

4.5
10年ぶりくらいに再鑑賞しました。
久し振りに映画を観て嗚咽しながら泣いた。

同性愛が死に値する時代だった1960年代のアメリカが舞台。話の構造的にはそう目新しくはないと思う。
ただもう、ヒースレジャーを始めとする俳優陣の演技が素晴らしすぎて…。全体的にセリフは少なめだけど、その分繊細な心の動きが凄く良く伝わる。この空気感…俳優陣だけじゃなくて監督もすごい…。
わりと直接的なシーンもあるので男性同士の絡みが絶対に無理という人は厳しいかもですが、そうでない人には是非観て欲しい。

もう後半、本当に胸が締めつけられて見ているのが辛かった。
ラストのイニスの台詞、あんなに切ない言葉があっていいのかって…。
日本語訳じゃなくて原文を見るとさらに切ない。
自分の気持ちとも奥さんとも向き合えず逃げるだけだったイニス……もっと早く勇気を持てていたら、2人の人生も、振り回されてボロボロになった奥さんの人生も全然変わっていたんじゃないのかと…… 。
でも時代背景や幼い頃の記憶の中で苦しんで、あのラスト、あのタイミングでしか言えなかったんだと思うと涙が止まらない。

しかしまぁ10年前に見た時には2人の関係の始まりがあまりにも衝動的かつ急展開すぎて、えっ!?なんでそうなる!?!? って動揺したまま何となく話に乗り切れなかったけど、今回は不思議とすんなり受け入れられた。
個人的な解釈として、ジャックは元々自分の性的指向に関して多少の自覚はあったんじゃないかと思う(口では違うって言ってたけど)。衝動的な始まりから、本人の意思に反してでも惹かれ合っていく所は男女の恋愛作品のそれと同じだなとも思った。

とりあえずしばらく余韻を引きずりそうです。
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