緑雨

ブロークバック・マウンテンの緑雨のレビュー・感想・評価

3.5
あえて伝わりづらい”愛”を描き、”大っぴらに言えない”生き様を表現する。

大自然の中で繰り広げられる無力な人間たちの営みは、どこまでも抑制的なタッチで描かれる。その抑制ぶりもあいまって、主人公二人の間に生まれ継続する”愛”が如何様なものなのか、一見すると分かりにくい。が、その分かりにくさ、伝わりづらさこそがこの映画のキモなのだと思う。”大っぴらに言えない”ことを抱えて生きていく人間とはどのようなものなのか、それを丹念に追求することがこの映画の本質なのだろう。

ヒース・レジャーにしてもジェイク・ギレンホールにしてもミシェル・ウィリアムズにしても、一人一人を単独で取り上げてみれば然程凄いとまで言える演技をしているとも思えないのだが、彼らを絡ませるバランス、配剤が見事で、結果的に2時間画面から目が離せなくなる。これはやはり監督の手腕以外の何ものでもないのだと思う。
緑雨

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