ヴェルヴェっちょ

ブロークバック・マウンテンのヴェルヴェっちょのレビュー・感想・評価

3.8
この映画で、夭折の天才・ヒース・レジャーに会おう。

1963年、ワイオミング州ブロークバック・マウンテン。
羊の放牧管理の季節労働者としてやってきた20歳の青年イニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)は、共に仕事をしているうち、テントの中で肉体関係を持ってしまう。
彼らは互いへの愛を抑えることができなかったが、労働を終え帰郷。
イニスは許嫁のアルマ(ミシェル・ウィリアムズ)と結婚。
ジャックもロデオ・クイーンのラリーン(アン・ハサウェイ)と結婚。
お互い子供も生まれて家庭を築く。
4年後、2人は再会。熱くキスする彼らをアルマが目撃して衝撃を受ける。イニスとジャックは思い出のブロークバック・マウンテンに出向き、年に数回だけここで会うことを誓い合った。
75年、イニスとアルマが離婚。イニスとジャックはともに暮らすかと思われたが…。

ワイオミング州の豊かな大自然と、爽やかめのジャケットからは想像できないほどショッキングな内容だった。
今よりはるかに性的マイノリティーについて理解が得にくかった時代、2人の青年の赤裸々な愛のぶつかり合いが描かれる。
自分の本音を言えないまま暮らすって本当に狂おしい。2人とも結婚し、家庭生活を築く。そこはもちろん「幸福」なのだろうけれども、本人たちにとっては家庭とは別に同性の想い人がいる。
これをラブストーリーと呼ばずして何をそう呼ぶだろうか。
羊の放牧と壮大な自然描写が圧倒的であるからこそ、2人の同性愛の後ろめたさが際立っているように思う。

故ヒース・レジャーに会うには、主役を食う怪演を見せた「ダークナイト」ももちろん最高だけれど、この映画も素晴らしい。彼の新作が見られないのは本当に惜しい。