えのき

ブロークバック・マウンテンのえのきのレビュー・感想・評価

4.3
ロミオとジュリエット的作品鑑賞第1回

20世紀後半のアメリカ中西部を舞台に2人のカウボーイが惹かれ合う姿を描いている。
LGBTに対する理解の薄い当時、彼らは互いの感情を隠して生きていかざるを得なかった。その様子が20年という長い時間を通して変化する感情を交えて如実に表現されている。

家柄という壁によって結ばれなかったロミオとジュリエット、性別の障壁によってついに結ばれなかったイニスとジャック、時代や場所は違えど普遍的な愛と離別の情景は繋がるものがあるだろう。

個人的には全編を通じて移されるブロークバックマウンテンの景色の美しさに目を奪われた。
過酷な羊の放牧の労働すら建物と人に囲まれた生活をする我々にはどこか羨ましくすら映る。

主要な登場人物の誰もが悪ではなく、それでも彼らを覆う悲哀は人生の切なさを表しているようだった。
えのき

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