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二十才の微熱 A TOUCH OF FEVERのRのレビュー・感想・評価

二十才の微熱 A TOUCH OF FEVER(1993年製作の映画)
4.5
すごく荒削りな感じはするけど、思い切り体当たりなとこがめちゃめちゃ熱い映画ですねー! 冒頭、いきなり袴田くん演じるタツルが、おっさんに背後からキス&gropeされまくる濃厚なシーンから始まる。タツルくんは新宿で売り専のバイトをしてるねんけど、ゲイでもない、ノンケでもない。年齢的に何にでもなれるけど何にもなりきれない。てか何にもなりたくない。と思ってる大学生。誰からも距離を置いて深く関わろうとしない。彼と同じバイト先で働く高校生の信ちゃんは、タツルに恋してるねんけど、そのことを伝えることができないでいるし、消極的な子やから伝えるつもりもない。けど、めっちゃ好き。タツルはそれを知ってて、誰に対してもそうであるように、彼に対しても優しく、ゆえに、残酷である。あらゆる意味で宙ぶらりんな生活を送ってる2人と、2人がそれぞれに仲の良い女友だちとの関係を中心に、どこか優しさを感じさせるちょー長回しのリアルな映像で、ゆったりと青春の痛みが綴られていく。かすかな熱にふわふわとしてるけど、熱くなりきることはできない。あらゆることから遠ざかってはいるけれど、やっぱり若い感受性がすべての痛みを正確に感じとってる。この感じは他の映画では見たことないなー。いろんな場面で積もり積もった小さな痛みが、爆発してしまう最後のシークエンスはマジですごい。ほんとに爆発してる。出演者が自分自身のリアルな感情の高まりに耐えられなくなって、ボロボロ泣いてしまってる。どう見ても本気の号泣。まじすごいわ。出演してる監督自身も泣いとるやんけ!笑 もらい泣きしてまうわ! 橋口監督は第一回監督作品から、一貫して出演者の生の感情の爆発を、こうして演出してきたんだなーと思うとスゲー。感嘆せざるを得ない。ほんで、最後の爽やかな終わり方よ! サイコーやん! 要所要所に散りばめられてるユーモアもおかしくて何回か声出して笑ってもたし。特に自動販売機か何かだと思ってんのよ!はマジわろた。Oh, daddy, OMGなすさまじく気まずいシーンもvery good。そーいや、オレも20才のときこんなんやったなーと、ものすごい懐かしさを感じたのは、勘違いでありましょうか。見る人によってはものすごく愛おしい作品になるのではないでしょうか。またはイタイ作品に。
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