堊

私生活のない女の堊のレビュー・感想・評価

私生活のない女(1984年製作の映画)
3.9
・『わたしの夜はあなたの昼より美しい』の楽屋裏ドタバタや『狂気の愛』のドッタンバッタンを思い出せばこの監督が映映画製作モノを撮ってるのも納得なはずなんだが、もちろんまともな作品であるはずもなく…
・いなくなった女の面影を追い求める謎の男と過ごすうちにその女に段々なりきっていく自分に気づく…なんて『めまい』な筋書きのハズがそれどころじゃない。テロリズム、発狂、街を埋め尽くすデモの行進…

・アラン・レネで撮ってたサッシャ・ヴィエルニがなぜか撮影監督してる。冒頭からの反復の気持ちよさがすごい。でもまだ抑えられてない?
・ブチ切れてコップを噛んで破壊するのは『狂った果実』思い出した。

・発狂ヌードダンスの末に見ている方が最終的に発狂したのに笑った。
・ズラウスキーの中ではかなりストーリーも比較的追いやすい。やけくそみたいな爆発炎上カーアクションもある。
・大仰な台詞が最高。
「映画はけっきょく何の役に立つの?」
「死んだ人の面影を残す。マリリン、ギャバン、リー、そして俺だ…」

「チンピラめ、どんな未来を俺らに与える?」
「君の未来だよ」


・恵比寿で開催されるポーランド映画祭のリストが公開されてましたが、ズラウスキーは一本もなく…
やっぱ本国でのズラウスキーは日本における園子温、フランスにおけるギャスパー・ノエ的なポジションで嫌われているのだろうか。
堊