イチロヲ

エド・ウッドのイチロヲのレビュー・感想・評価

エド・ウッド(1994年製作の映画)
4.0
資金繰りに喘いでいる三流の映画監督エド・ウッドが、衰退期に入っている名優ベラ・ルゴシを起用しながら、映画製作に野心を燃やしていく。伝記本「エド・ウッド 史上最低の映画監督」をベースにしている、ヒューマン・ドラマ。

1953年度「グレンとグレンダ」から、1959年度「プラン9・フロム・アウタースペース」までの出来事がメイン。「天才じゃない映画監督」と「最盛期を過ぎたドラキュラ俳優」の交流劇がドラマティックに描写される。

ベラ・ルゴシは薬物中毒を公表した最初のハリウッド俳優であり、なおかつエド・ウッドこそが晩年期に心を通わせた唯一の人物であることがキーポイント。一時代を築いた俳優への畏敬の念を大事にする姿勢が、ティム・バートンの哲学と重なっている。

エド・ウッドは技能こそ稚拙だが、映画作りを純粋に追究するスタイルに人間的魅力が詰まっている。セット撮影と早撮りを駆使しながら予算削減に腐心したり、スポンサーと現場の齟齬に右往左往したり、そのジタバタこそが映画愛であることを痛感させられる。
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