イチロヲ

桃子夫人の冒険のイチロヲのレビュー・感想・評価

桃子夫人の冒険(1979年製作の映画)
4.5
17年間に及ぶ冷凍保存から蘇った上流階級の夫人(日向明子)が、その魔性を解き放ったことにより、家族の日常を混乱状態へと陥れてしまう。突如として参上した若妻に翻弄される人々を描いている、日活ロマンポルノ。

冷凍保存から復活した美人妻が「昼は奔放な女、夜は貞淑な夫人」という二重人格を表出。憂えた夫(吉原正皓)が「謎の空白期間」を調査していく。また精神分析のシーンでは、精神科医の役柄で団鬼六先生がカメオ出演している。

ドラマ部分では、冷凍保存直前に出産した娘(東郷亜季)とその彼氏(今井久)が、翻弄される側のカップルとして登場。そして、主人公の父(伊沢一郎)とメイド(梓ようこ)がギャグ要員になっており、屋敷内における艶笑劇を牽引してくれる。

「美女に視線を向けられただけで、金縛りにあってしまう感覚」に、これほどまで説得力を持たせている作品は、そうそうないだろう。夫人と接触した男たちが、自らの性欲と対峙する展開にホラーとコメディの表裏性が含まれている。
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