よぼよぼのおじいさん

ホーホケキョ となりの山田くんのよぼよぼのおじいさんのレビュー・感想・評価

5.0
高畑作品でちっちゃい頃から一番好き

大爆笑大号泣必至



春の海終日のたりのたり哉

秋の夜を打ち崩したる咄かな

頓て死ぬけしきは見えず蝉の聲

の三句の部が堪らなく好き










さておふたりは前途洋々、順風満帆で世間の大海原へと船出しはったわけです
人生山あり谷ありなどと言うとおり時には大波になぐられて奈落の底に突き落とされることもありますやろ
そやけどね心配はあらしません、人間一人でがまんしたりがんばりぬくのはなかなかえらいことですけどもかなりええかげんな男女でも二人やったら大がいのことはきりぬけられるもんです

せやからな悪いことは言いまへん、できるだけ早う子供をつくんなはれ
人生の荒波を乗りこえるのには子供ぐらい励みになるもんないと決まっとります
今子育ては面倒で難しそうに思われてるようですけども大昔からみんなやってきたことです
親はなくても子は育つ言うぐらいやから、はえば立て立てば歩めの親心で抱きしめてっったら大がいは何とかなるもんです

さて子を持って知る親の恩
親なんかうるさいだけやと思うとったけども子供を預かってもらえるし時にはおもちゃも買うてくれる
子供を持って初めて親のありがたみが分かった、とまあ意味を取りちがえて今の人はこのことわざを使うてはるようですけども
なるほどそれも親の恩のうちや、うまいこといくと親の土地建物あてにできるかもわかりません
そやから今から親を大事にせなあきまへんで

ところで長い人生行路で一番こわいものは何ですやろ、大あらしですやろか
激流ですやろか
実は見事にないだ鏡のようなおだやかな水面です
どんな荒波でも夫婦や家族がみんなしっかり手さえ取り合うてたら何とかのりきれるもんやけど凪の時はそうはいきまへん
風がぴたりとやむ
ほっと一息ついて心がゆるむ
にぎり合うてた手をはなす
この凪の時節には自分勝手に遊んどって知らんうちにはぐれてしまうかもわからんのですよ
後ろにおそろしいサメやフカが迫っとっても誰も気がつかん
大体どうやって船を進めたらええんやろ、何しろ風がない、船がどっち向いとんのかわからん
オールでこいでむりやりに船を進まそうと思たら右や左ややっぱり右や言うて意見が食い違う
何で同じ船に乗っとらなあかんのやろか、それもあやしゅうなってくる
まさに家庭崩壊の危機ですわね