阪本嘉一好子

いつも心に太陽をの阪本嘉一好子のネタバレレビュー・内容・結末

いつも心に太陽を(1967年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

なんとなんと。先生したらやめられない!最後の採用通知と小切手を破るシーンを見ていて、決断しかねていたマーク・サッカレイ先生(シドニー・ポワチエ)の心が決まった。いいシーンだ。先生冥利につきる。実は私も先生だからこの気持ちがわかる。生徒に接したら、心の中が一生の宝になる。

ルルの主題曲の歌詞を改めて聴いたら、この映画の内容を歌っている。60年代のロンドンの映画で感謝の気持ちを込めて、これから卒業していく。何をお返しができるかという古くさく感じるが意味がよく伝わりジーンときた。
A friend who taught me right from wrong
And weak from strong, that's a lot to learn
What, what can I give you in return?

本も満足に読めなかかったし言葉の使い方もしらなかった生徒を「子供」という言葉をヒントに古い言い方で悪いが、レディー・ジェントルマンになるためのクラスとして教える内容に変えていく。当時のロンドンでは奇抜だったかもしれない。個人的にはこの教え方は好みではないが動物園のような大騒ぎのクラスには何か生徒にあったやり方をした方が教師生徒とも共感できる。このクラスで、他の先生方は生徒をコントロールしようとだけ思っている。生徒の態度、動きに上手にのって、男だ女だということや分け方も伝統的なロンドンでは常だったかもしれない。その土地や時代背景を理解してみないと言葉言葉に違和感がある。

黒人の生徒も一人アジア系も一人で東ロンドンは中東、アフリカ移民が少なかった時代だろう。シールズ(Anthony Villaroel)、黒人の家族の葬式にも白人の女の生徒は行けなかったようだし、男の生徒も。それも、近所の人々が、有色人種の家に入るのを見れば、ゴシップになると。噂をするという。バーバラ(ルル)は正直言って、何も先生を差別しているんじゃないよと。先生はWell.....Well正直言ってくれてありがとうと(言葉に詰まって何にも言えない顔をして笑う)島国では、はっきり言えない、影に潜んだ人種差別があり、当時の米国の表面に大きく出る差別と違うねえ。(偏見かもしれない)

サッカレイ先生は言葉に詰まると、、Well ...Well という。最後、生徒たちにスピーチ、、スピーチ、、と言われた時も、おんなじ反応をしめす。

当時は高校を卒業しても就職も困難だったようだ。先生も先生になる前に皿洗いや車洗いなどの労働者の仕事をして教育のために金を貯めたという。生徒の家庭環境もブルーカラーで同じようなので生徒も共感したようだ。生まれは南アメリカにある、イギリス領ギアナで、米国カルフォルニアで過ごした設定だが、米国と違ってジムクロー法がないから、当時、黒人の先生であるサッカレイはSir. と呼ばせることができる。パメラ(Judy Geeson)のお母さんが先生に会った時、娘はSir.と呼んでいて、先生のいうことは何でも聞くと。でも、最初、サッカレイをみてちょっと驚いたように見える。

この映画を何度か観ているが、私は生徒やサッカレイ先生の言葉を軽く取っていたようだ。私は先生になる前だったからかもしれない。改めて、先生になってからこの映画をみて、レビューを書いている。

『将軍』をかいたジェームス・クラーベル監督の作品なんだね。監督はオーストラリア人で、日本と戦ったと。その後、米国の市民権を取っているようだ。