かや

二十四の瞳のかやのレビュー・感想・評価

二十四の瞳(1954年製作の映画)
4.4
十年をひと昔というならばこの物語のはじめは今からふた昔もまえのことになる。

小豆島を舞台に約20年間、一人の女性の先生を軸に定点的に描く反戦映画。


ここまで平和を切に願う映画は観たことがない。


小学校1年生の12人の生徒を受け持ち、交流する前半部分は、のどかでほのぼのした幸せな画を見せ、後半は戦争に突入し暗い雰囲気になる。
このギャップがまず良いんでしょうね。
「ライフイズビューティフル」とかそういう類いの戦争映画もそうですよねー

先生として12人の24の瞳をキレイに輝かせたまま成長してほしいという願いとは裏腹に、戦争によって教えられることも制限され、子どもたちはやりたいこともやれず、兵役にも駆り出される不遇で理不尽な人生を強いられる。

しかしこういった社会の状況や戦闘シーンは一切なく、人の死でさえも誰かの台詞で済ませたり呆気なく描く。
死の普遍性を捉え、静かに厳しい世界を見せている。
にも関わらず反戦という二文字が明確に提示される表現力には感服。

あくまで「先生」と「生徒」がメインであり、この絆を156分かけて描いている。
こんなに生徒を想う先生はいないってくらい生徒たちに優しく振る舞い、将来を考えてくれる素晴らしい先生。
そんな先生を想う純粋な生徒たち。
この関係性が年とともに増幅していき、最後の送別会シーンは涙なしでは見られないほど美しい。


色々お伝えしたいシーンがあるんですけども、できるだけ情報を入れずに観るべきだと思うので一つだけ。
終戦後の教室のシーンで、何気なく教室に貼られている書道の練習の文字が「ヘイワ日本」だったところに心打たれました。

また、「仰げば尊し」「七つの子」「ふるさと」「荒城の月」など映画のBGMとして相応しくないような歌ばかり流れますが、本作にドンピシャに合っていて感傷的でなんとなく安心するような雰囲気が漂う。


言葉では上手く表現できず、とにかく素晴らしい映画だったとしか言いようがない作品です。
表現の自由が保証され、笑って普通に暮らせることが、いかに恵まれている人生なのかを改めて痛感させられた。
「七人の侍」を差し置いてその年のキネマ旬報ベストテンで見事1位になったとのことなので、日本人であれば一度は観てほしい日本映画の傑作です!