菩薩

ムアラフ 改心の菩薩のレビュー・感想・評価

ムアラフ 改心(2007年製作の映画)
4.3
鑑賞直後はそうでも無かったんだけど、今になって(いやまぁ、直後っちゃ直後なんだけど)じわりじわりと、そんなこんなで込み上げ流れ落ちそうになっている涙を、意味もなくかっこんだ牛丼と共に飲み込みながらこれを書いております。

人に何を伝えようにも結局は言い方一つや態度一つで変わる、そんな当たり前の事は分かりつつも、どうしたって人に優しく出来ない時がある。でも結局は自分が優しく出来なければ人に優しくして貰えないし、自分に優しくできない人間も他人に優しくはして貰えない。宗教色が強い映画なのかもと思っていたら、それ以上に人間愛と慈悲に満ちた温かみのある作品で、許しと寛容、多民族国家ならではの宗教観と人生観が滲み出る、それこそ日本人の感覚に非常に響いてくる作品だと思った、掃除中偶然見つけたブラジャー頭に被っちゃうとことか特にね。20代は散々人に当たって来たし、怒んなくていいタイミングで怒って来たので、30代はどうにか寛容に穏便に波風立てず、なんて思いつつも、いかんせん元の容量がフロッピーディスク並みに少ない上に、季節の変わり目ってのはどうも苦手で、最近は勝手に一人でダークサイドに堕ちかけてたけど、そんな時にこの映画を観られて良かったなと思う。自らの根底で根強く痛みを広げ続けるキズとどう対峙するかは結局は自分次第な訳だけど、自分を許す事は他人を赦すことに繋がり、更に自分に返ってくる、そんな拒絶からでは始まりっこない人間同士の夢物語の一端をこの映画に見つけられた気がする。とりあえず手始めにたばこを弱目の物に変えてみた、意味なんて無いかも知れないけど、何か気分を変えたいが為に、小さな事からコツコツと。何を信じるかでは無くどう信じるか、アメイジンググレイスがあんなに美しく聴こえたのは初めてかもしれない、こりゃますます『タレンタイム』が楽しみでしょうがない、いい映画だった。
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