shibamike

恐怖の足跡のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

恐怖の足跡(1962年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

バァー、バァー、バ、ミケー
(バァー、バァー、バ、ミケー)
バァー、バァー、バ、ミケー
(バァー、バァー、バ、ミケー)
バ!(バ!)バ!(バ!)バ!(バ!)…
ワァアー!!!

あいつもこいつもあの三毛をただひとつ狙っているんだよ♪
このクラスで一番のバミケの隣を〜♪

あぁあ〜♪みんなラバミケさ〜♪
(ラバミケ〜♪)
あぁあ〜♪命がけだよ(ワォ!)イェイイェー♪

運命のバミケ様よ〜♪
この僕に微笑んで♪
一・度・だ・け・で・も〜♪
勉強する気もしない気もこの時にかかっているんだよ♪
もしダメならこの三毛はもうグレちまうよ〜♪

曲名:ガバミケ天国
歌手:シンナー5


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ここ最近、新宿はK’sシネマへ通っている内に、「怪奇ビザール映画祭2021」なる特集の宣伝を頻繁に目にするこ……すみません、冒頭の「ガバミケ天国」をきちんと声に出して歌っていただいた方のみ、この先を読み進めてください。
……特集の宣伝を頻繁に目にすることとなり、ホラー映画は風呂に入ってシャンプーしてる時に怖くなるので、個人的に御法度だったのだけれど、自分ももういい年こいた中年だし、今更オバケなんて怖くねえわ、月々の支払いの方がよっぽど怖ぇわと思い、人生初ホラー映画を……すみません、冒頭の「ガバミケ天国」をきちんと振り付けありで歌った方のみ、この先を読み進めてください。
……人生初ホラー映画を劇場で鑑賞。

しかし、結局本作はホラーというよりかはサスペンスみたいな感じだったので、これで自分のホラー映画処女膜がビリビリに破けたか?というとせいぜいファールチップがいい所で実際ノーカウントであらう。やっぱりオーメンとかエクソシストとかの有名どころでないとホラー映画における自……すみません、冒頭の「ガバミケ天国」をきちんとアキラ君みたいなサングラスを掛けて振り付けありで歌った方のみ、この先を読み進めてください。
……ホラー映画における自分の鉄の処女膜が貫通することは無ささうである。


映画は普通に面白かったし、名作扱いも納得だった。映像のオシャレさだったり憎い演出が目白押しという感じ。
 思いっきり完全にストーリーのネタバレをすると、主人公は本当は川で溺死して死んでる筈だったのが、何かの手違いで死んでない風になっていて、そのため本人は死んでないつもりでケロッと生活していたところ、他の死人のみんなが慌ててあの世に連れ戻さうとするのだけど、でも主人公は死んでないつもりなので日常にふと現れる死人のみんなにいちいちビックリするという、うっかり八兵衛ならぬうっかり土左衛門みたいな話であった。

そもそもオープニングで主人公はあっという間に死ぬのだけれど、このオープニングの鮮烈さは潔くて映画の掴みとしてかなり訴求力強かった。
 スクリーンを見ている我々観客の心の準備すらまだ全然出来ていない上映開始数分の内に死亡シーンが訪れ、見ている我々観客の心の準備どころか、死ぬはずだった主人公ですら死ぬ準備できてなかったんじゃねえのと思わずにいられない程の唐突さで、主人公の魂が行き場を見失い、おめおめ蘇ってしまったとしても不思議でないくらいあっという間、電光石火のオープニングであった。人間、やっぱり死ぬ時は「よし、死ぬぞ!」とある程度決意の後、畳の上で瞳を閉じたいものである。
コロナワクチン反対!コロナはただの風邪!波物語悪くない!

けれど、さういう自分のイチャモンを忘れさせるほどストーリーが面白く作られていたので、充分楽しめた。
 死んでる筈なのに死んでいない主人公。エラを削った後の田丸麻紀似の金髪美女で、彼女の仕事が教会のオルガン弾き、というのはめちゃくちゃ良かった。
 オルガンの腕前は相当なもので教会の神父さんも最初のころは、その腕前に満足していたのだけど、主人公が徐々にあの世の感覚とリンクし出すと、彼女の演奏する曲が死者達をダンスさせる死の輪舞曲みたいな感じになって、流石の神父さんも「演奏やめぃ!こんの罰当たりのディープビッチがっ!神聖な教会でなんちゅう冒涜的なもん演奏するんじゃっ!クビッ!ファック!常滑の音楽フェス!」つって即刻レッドカードだったのもやむ無しである。このシーンは結構、自分には印象的で、考えてみると教会というのは生きていることを祝福する場所な訳である。そして、その反対となると禁忌的な死や堕落などの匂い漂うもので、さういった音楽となると、反逆の音楽ロケンローやブルースというのがさういう罰当たり方面にカテゴライズされるであらう。さういう方面の音楽を好むということは実は自分も既に死んでしまっているのかも知れない。コロナ!自宅療養ブルース!ギュイぃいいーーん!

あと面白かったのが、主人公が普通に生活していると突然、周囲が無音になる時。無音になるだけでなく、主人公の存在が周囲から見えなくなってしまうのだけど、要するに生と死の間、本当に生死を彷徨っているんである。こういう発想って映像で見るとめちゃくちゃ面白い。生の世界のレイヤーと死の世界のレイヤーは重なっているけど、明確に異なっている感じ。透明人間の場合だと存在はあるけど、本作の場合、主人公の存在までなくなる。

家に帰って、まじまじと考えてみたけど、主人公を連れ戻さうとした死者達が冷静にTPOを選んで淡々と主人公に「あなたはもう死んでるんだよ」と丁寧に説明していたら、だうってことない話だったのかもなという気がしたのと、死者達が不気味に微笑んでいたのもひょっとしたら主人公を怖がらせない為に微笑んでいたんじゃないだらうかという気もした。かういう罰当たりなことばかり考えているので、自分は呪われるであらう。

劇場のチラシによると、本作はジョージ・A・ロメロやデヴィッド・リンチといった後続の大監督達に影響を与えたさうである。ただ怖がらせるだけという作品ではなく、この世とあの世の魂の所在無さを神秘的に描いており、格調高さが感じられたので非常に想像力を刺激される作品であった。

コロナワクチン反対!コロナはただの風…ウッ!…苦しい!…陽性だった!ワクチン打たせて!波ロック!フジ物語!


ホラミケ 恐怖の一句
「振込の 期日が昨日 までだった」
(季語:だった→コロナは風邪だった→風邪→冬)
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