半兵衛

恐怖の足跡の半兵衛のレビュー・感想・評価

恐怖の足跡(1962年製作の映画)
3.5
低予算ゆえのチープさや一部の展開に?な部分はあれど、日常の風景にあるふとした歪みや違和感のある物が突然非日常な恐怖に変貌して精神的に主人公を苦しめていくという着眼点に優れた物語は秀でているし、廃墟といういかがわしさと興味心をくすぐるギミックを使ってラストを盛り上げる演出は見事。そして作品全体に流れる普通の世界なのになにかが欠落してしまったような異様な感覚は現代のホラーに通じるものがあり心をゾワゾワさせる。

主人公の女性の前に突如現れる白い顔の男たちの出現タイミングが素晴らしく観客と女性を驚かせハラハラさせるのが最高、あと中盤突然空間が変質するシーンの怖さや走ってくる亡霊の怖さ。

謎の人間に精神を蝕まれ心が折れてしまった主人公が現実なのか夢なのか判別がつかない世界へとたどり着いてしまう終盤の畳み掛けもgood、ラストのオチは現代ではこのネタを使った作品が多く出回っているだけに新味は無いけれどそれでも泥や車、廃墟といったディテールの使い方が上手くてそれなりに楽しめる。

それにしてもネタバレ厳禁な作品なのにネットで○○に似ているとか書くのはやめてもらえないか、確かにそれらが本作にインスパイアを受けているのは事実だけど肝心のオチを知ることになるので見る人の興味を削いでしまうことになっているよ。
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