TAK44マグナム

アナコンダ2のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

アナコンダ2(2004年製作の映画)
2.9
うだるような暑さの中、私は数名の部下を引き連れて、ボルネオのジャングルをかきわけるかのように流れる川をクルーズしていた。
目的は、7年に一度しか咲かないといわれる幻の「不死の蘭」を入手するためだ。

「・・・ん?な、なんだ、あれは!?」
濁った川の中央あたりで、何か巨大な生物らしきものとガチンコで組み合っている一人の男が視界に飛び込んできた。
ワニだ!
信じられないが、巨大なワニと人間が格闘しているでないか!
しばらくすると男がナイフでワニを見事に仕留め、ワニの巨躯は川の底へと沈んでいった。
何ということだろう、人間がナイフいっちょうでワニに勝つなど、まるで映画ではないか!

我々は男が「ブラッディマリー二世号」と船名のはいったオンボロ船に戻るのを見届けると、話を聞こうと近づいた。
半裸になって濡れたシャツをしぼっていた男は、我々に気づくと意外と気さくな様子で声をかけてきた。
「やあ、俺はマックス・・・・・じゃなかった、ジンスーンだ。お前さんたちはアメリカ人か?」
「ええ、まあ・・・あ、あのう、いまワニと戦ってらっしゃいましたよね?」
「見ていたのか。なら見学料を貰わなきゃな・・・って、ジョークだよ、ジョーク。ここらへんじゃワニを一人で倒せるぐらいじゃないと生きていけないからな」
「マジですか!?ボルネオだと普通にワニに勝てないといけないんですか?」
「ああ、そうだな」
そう言ってドヤ顔をしてみせるジンスーンという男に、私は更に興味をもった。
「ジンスーンさん、もし知っていたら教えてほしいのですが、不死の蘭という呼ばれる花がどこに咲いているのかご存じではありませんか?」
そう訊ねると、ジンスーンの顔色がサッと曇ったのが分かった。
「・・・知ってはいるが、悪いことは言わん、引き返しな。命が惜しいのならな」
「いえ、簡単には諦められません」
「いいか?ここにはあんなワニよりも何倍も恐ろしいヤツがいる。アナコンダだ」
「え?アナコンダって、あの蛇のですか?でも、アナコンダはボルネオにはいないってウィキペディアに載ってましたけれど」
「いるんだよ!ウィキペディアだろうが何だろうが細かいことは気にするな!俺は知っている・・・特別サイズの人喰いアナコンダがうじゃうじゃいやがるんだ!わかったら帰れ!」
「え~・・・しかし・・・」
「なら、これを観てみろ!どんなに奴らが恐ろしいか分かるぜ」
そう言って、ジンスーンは一本のDVDをわたしてきた。
「あ!これって、いい年した大人がデートで選ぶと失敗する映画ランキングで第21位だった『アナコンダ』じゃないですか。確か、有名な歌手やラッパーに、ブラッド・ピットの義理のお父さん、それに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を根暗だからって降ろされた役者さんが出ているやつですよね!」
「・・・ん?い、いや、よく見ろ、ほら!」
「あれ!タイトルにSがついて複数形になってる!しかも監督が『TEKKEN』とか撮っている人だし、出演者も全然知らない役者さんばかりだ」
「そんなことはどうでもいい!それに、リック・ユーンの弟のカール・ユーンだって出ているんだぞ」
「す、すみません・・・あっ、値札がついてる。250円なんだ、これ」
「別にいいだろ!3Dジャケット仕様のがワゴンセールで並んでたから、ついつい買っちゃったんだよ!そんなことよりそれをちゃんと観て、アナコンダがどれほど恐ろしいかを理解してから、それでも行きたければ勝手に死にに行けばいいさ。俺に出来るのは忠告までだ」
ジンスーンは吐き捨てるようにまくしたてると、そのままボロ船で去っていってしまった。

残された我々は、とりあえずもらったDVDを鑑賞することにした。そこに映っていたのは、それなりの出来栄えのCG製アナコンダがえらく出し惜しみされたB級モンスターパニックの王道のような代物であった。
「隊長、本当にアナコンダなんてボルネオにいるんですかね?」
怪訝な表情で、部下のひとりがエンドロールを眺めながら訊いてきた。
「わからん。分からないが、どうしても不死の蘭が必要なんだ。アナコンダがいようがいまいが、探しに行くしかない」
・・・そう、私はあの花が喉から手がでるほど欲しいのだ。
身長145センチの私は、シークレットブーツから卒業したかった。不死の蘭がもつ成長作用によって背を伸ばし、モテモテになりたいという密かな願望が、私の精神を支配していた。

はからずとも、このDVDを観て、不死の蘭の効能に確信がもてた。アナコンダがデカくなるなら、きっと人間が摂取してもデカくなれるに違いない!
アナコンダがなんだ!たかが蛇じゃないか!
私は改めて、絶対に不死の蘭を手に入れると心に強く誓った!

「高身長に俺はなる!!!」


セルDVDにて