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バトルフィールド・アースのGreenTのレビュー・感想・評価

バトルフィールド・アース(2000年製作の映画)
2.0
サイエントロジーの創始者、L・ロン・ハバードが1982年に書いた同名小説を、サイエントロジーの熱心な信奉者、ジョン・トラボルタが制作、主演したパッション・プロジェクトで、「ジョージ・ルーカスが紹介してくれた」ロジャー・クリスチャンが監督の作品です。

西暦3000年。地球はサイクロという宇宙人に占領され、1000年に渡って鉱物を搾取されていた。サイクロは酸素で生活しないので、デンバーのあたりに作られた巨大ドームに住み、人間は奴隷として扱われていた。

荒廃した土地には原始時代に逆戻りしたような人間たちが住んでいたが、食べ物もなくこのままでは絶滅してしまうと、ジョニー・グッドボーイ・タイラーは希望を求めて旅に出る。そこでノマドの人間、カルロに出逢うが、サイクロに捕まり奴隷キャンプに入れられる。

このジョニーを演じるのがバリー・ペッパーなんですよ〜。この人『プライベート・ライアン』のスナイパーの役がめちゃくちゃカッコ良かったんですけど、その後パッとしませんでしたね。

一方サイクロの安全責任者のタールは、サイクロ政府の偉い人から、地球での駐在任務をあと「50サイクル」延長すると言われる。

タールを演じるのがジョン・トラボルタなんですけど、会話の内容が「組織のためならなんでもします」とか、大企業のパロディみたいな内容なんですよね。タールはエリートらしくて、すごい教育を受けているのに、なんでインテリの俺が地球みたいな辺鄙なところの駐在員なんだ!みたいな(笑)。で、同僚?部下?のカー(フォレスト・ウィテカー)のことを「学がない」とバカにする。

このサイクロって宇宙人のカッコがすごい。頭がすっごいでかくて、ながーいドレッド・ヘアで、レザーの服来て、目が黄色で、キッスみたいな厚底ブーツ履いていて、人間より一回りくらいデカイ。

この格好、フォレスト・ウィテカーが意外と似合う!

この映画、ラジー賞最低作品賞、最低主演男優賞など主要部門をほぼ独占、ラジー賞25周年歴代最低ドラマ作品賞、2000年代最低賞に選ばれ、評論家からはけちょんけちょんに言われている。iMDbでも2.5/10なんだけど、投稿を開けてみると、1がすっごい多いのに、2.5ってことは、いいって言う人もいるのかな?と思ったら、10の人もすっごい多い!

10の人は、「最悪すぎて笑える!DVDで買ってもう何回も観ているが、観るたびに面白いところが見つかるサイコーのエンターテインメント!」という「ダメダメさを楽しむ」系の人と「マスターピースだ!」って言う人と真っ二つに別れてた。

1を付けている人や評論家たちは「話が陳腐」「ツッコミどころが多すぎる」「辻褄合わない」「オリジナリティがない」「サイテー演技」「撮影が良くない」などの意見が多い。

個人的に思ったのは、まずセットが醜い。荒廃した地球の都市、ニューヨークとか?のボロボロの背景が、写真とかCGI というより、絵?(笑)あと、紫や緑のフィルターをかけていて、すごく醜い色。

画面が斜めになっているのは確かに気になるんだけど、「コミックっぽさを出したかったから」なんだそうだ。私はそれより、場面が変わる時、カーテンを開けるように次の画面が出てくる、パワポのアニメーションみたいのが安っぽいなあと思った。

あと、他の映画のパクリっていうのはなんか分かる。荒廃した都市は『ブレードランナー』や『ニューヨーク1997』みたいだし、サイクロのカッコは『デューン』、人間たちは『ブレイブハート』。

で、1を付けてた人たちがすっごいツッコんでいたのが、「1000年も置き去りにされていた戦闘機(ハリアーII)が、燃料も入ってて今でも使えるなんておかしい」「原始人みたいな人間が操縦できるようになるわけないじゃん」ってところで、人間のレジスタンスたちが埋もれていたフォートノックスで武器を見つけてサイクロに反撃するところが辻褄合わないと。

私は「愛すべきB級映画」って感じの爆笑を期待していたんだけど、一度も笑わなかった。だけど、そんな最悪ってこともなく、言及したようにセットがちゃっちいところもあるんだけど、意外に金かかっていたり、なんかギクシャクした映画だとな思ったけど、私にとってはアヴェンジャーズとかワンダー・ウーマンとあまり変わらない。

だからこのやたら「最低」評価は、サイエントロジーだからだと思う。だってー、MCUとかDCなんて、辻褄合わないのとかアホくさい話ばっかじゃん。ファンは信者だし(笑)。あれと何が違うんだ。少なくともこっちは「命がけ」の意味が本当に死ぬことであるだけ偉いかも(笑)。

役者さんたちは頑張ってたと思うよ。バリー・ペッパーなんて、すっごい真剣に演ってたし、フォレスト・ウィテカーも悪役カッコ良かった。ジョン・トラボルタは『ファナティック』なみの怪演を期待していたんだけど、意外に面白くなくて、そこがガッカリポイントだった。

あ、そうそう、サイエントロジーの世界観とか、教えみたいのが入っているのかな?ってそこも興味あったんだけど、特にそんな感じもしなかった。サイエントロジーの創設者って、SF小説たくさん出版しているらしく、これは宗教とはべつに本当にSF趣味なのね、って感じだった。つか、このSF趣味が高じてサイエントロジーの教えになっちゃったのかもしんないけど。

サイエントロジーってハリウッドに信者が多いけど、この創設者の人、多分、役者とか監督とか、映画関係の仕事で成功したくて上京してきたけど、そっちでは芽が出なくて教祖様で成り上がったんだろうなあとか思いながら観てた。
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