アラサーちゃん

いとこ同志のアラサーちゃんのレビュー・感想・評価

いとこ同志(1959年製作の映画)
3.5
図らずして奪ってしまう男と、何もかも奪われた男。

タイトルも有名だし、内容も悪くなかったですが、ちょっとアイテムの出し方や演出がチープだった気がします。
「この世でもっとも美しい武器だ」というセリフや、万引きさせてくれる本屋の主人。
わかりやすい出し方は嫌いじゃないけど、出すタイミングだったり、頻度だったり、そういうのがあまり好みじゃありませんでした。

でもワグナーの曲のシーンはとてもよかったです。あそこのシャルルとフロレンスの間に描かれる「男女はタイミングですべて決まる」という関係性もよかったけれど(ふたりの関係性が一度幕を閉じるのも待ち合わせ時間のずれ)、ワグナーの曲に合わせて360度回転するあのカメラワーク好きです。

あと好きなシーンは裸でうつ伏せて日光浴するフロレンスに、シャルルが煙草をあげるシーンかな。

結果、古い映画好きとして観ておいてよかったけれど、必ずしも満足できる良作、というほどではなかったかな、という印象。
「いとこ」という関係性、母への手紙という部分にに絶妙な何かを感じます。