しんご

COWBOY BEBOP 天国の扉のしんごのレビュー・感想・評価

COWBOY BEBOP 天国の扉(2001年製作の映画)
3.9
渡辺信一郎監督は「カウボーイ・ビバップ」のTVシリーズを製作した際周りから散々叩かれたそうだ。構成がルパンの二番煎じと批判され、ジャズ中心のBGMに上層部は「サントラの採算も度外視か?」と嫌味を言ったそう。

そんな声にもめげない職人が世に放ったビバップはある意味ルパンを越えるコアなファンを日本国内外に獲得。身近な例で言えば、17歳の時我が家にホームステイしたアメリカ人はビバップの原画集を横浜のアニメイトで手に入れ、「これを売ってください」とTSUTAYAでレンタル用のビバップシリーズを全巻買い上げた。その時の彼の満足気な顔は未だに忘れられない。

時を経て、「レディ・プレイヤー1」の劇中に「ソードフィッシュⅡ」の姿を確認した時、ビバップが未だに廃れていないことが心から嬉しかったし、渡辺監督の不屈の精神の偉大さを改めて尊敬した。

そんな監督が放つ劇場版。あまりに拘り抜いたがために公開が1年延期された程の本作のクオリティはまさに納得の一言。

冒頭のスーパーマーケットの説教強盗に俳優の石橋蓮司さんを配置する豪華さ。その強盗を叩きのめし「ただの賞金稼ぎさ」とキメるスパイク・スピーゲル役の山寺宏一さんのイケボで幕を開ける本作はとにかくスペシャル感満載。

2時間という制約上ジェット、フェイ、エド各々のドラマの描写は薄めになるのは仕方ない。...が、新たに登場した不気味で残酷な悪役ヴィンセントのキャラ、今観ても興奮するド派手な空中戦は劇場版ならではで見応えは充分にあった。ちなみに、ヴィンセント役の声はメル・ギブソンやハリソン・フォードの吹替えでお馴染みの大ベテラン磯部勉さん。洋画ファンにとっては生唾モノの配役。

キアヌ・リーヴス主演でリメイクする案もあるようだけど、個人的には「ジョン・ウィック」でキレキレだった彼のスパイクをスクリーンで観てみたい。
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