くじら

吸血鬼ドラキュラのくじらのレビュー・感想・評価

吸血鬼ドラキュラ(1958年製作の映画)
3.5
「一冊の手記」を辿り物語が始まる構成、無骨でシブいし、おかげで序盤に背景説明をほとんどせずに済んでいる。映画の真ん中で初めてドラキュラ退治法を教えてもらう、クールな構成が映える映える。

そして何より、絵作りがクールすぎるだよ〜〜。

プロローグから前景後景がゆっくりと回る室内撮影に舌鼓。図書館へ入ったあと以降なんて本当に動く芸術。

あとルーシーの逢瀬シークエンス、ライティングが鬼。目の前で舞台を見ているような立体感だった。
鮮やかなブルーのドレスだったルーシーが色彩を失って以降、目だけが青く光ってるの良すぎ。ルーシー最高!最高!ナイススクリーム!

ラストに向けて「結局隠れて暮らさなければならない」ドラキュラの悲哀が、ひょうきんな演技と動きの少ないカメラで表現されていていい。美しさは恐怖、知らなさによる幻だったかのよう。

ただ、まとまってエンドに向かっていくような高揚がなく、断片的な作りだったのがやや好みじゃない。

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『ウィッカーマン』でクリストファー・リーに惚れ、俳優追いなど普段しないくせに、名高いハマーフィルムの寵児だったと知り流石に見てしまいました。

クリストファー・リーさまの、ファンタジーでありながら実在感バリバリなのすげ〜〜。この時代から『ホビット』までファンタジーの具現化を担い続けていく身体に惚れ惚れとします。
くじら

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