矢吹

喜劇 女は度胸の矢吹のレビュー・感想・評価

喜劇 女は度胸(1969年製作の映画)
4.1
「男はつらいよ」の、渥美さん出演、山田洋次さん原案、森崎東さん監督デビュー作品。
女は度胸。

タイトルの出方、気持ち良すぎる。
オープニングで雑に見えるように見せる丁寧さは後半効きまくり。カメラワークがフラフラしたり、すごいスピードでスライドしたりの序盤。母越しの喧嘩、斜めからの並び。妄想。ただでさえ視覚的に面白いのに、それがちゃんと意味を成してもらえちゃう対比と強化。主観ショットも楽しかったし、音楽もよかった。んで、ラスト3分、最高。好きなシーンランキング、現在かなり上位です。

タイトルとビジュアルが良すぎるけれど、
イメージとは違う作品だった。
もちろん結果、完全にいい意味で。
内容もとても面白い。面白い映画ってこういうことか、というか、良質な喜劇かな。
飛行機が行ったり来たり。左へ帰ってくるようで、空へ飛んでいくようで。
大中小のパンツ。
階段を転がるたびに成長してくれ。
2人で転がってもみてくれ。
寝な。もしくは、自分で選びな。
母ちゃんが最高な、家族の話、ホームのドラマ、家庭の物語。

人類の未来を語る場所であり、
あの光景を忘れないことであり、
昔のことは気にしないことでもある。
出て行きたいと思ったことはないのかい。
中で話な。
みんなそれぞれの作り方があるから、それでいいさ。そして全部、未来を見てると思うので。
メッセージとコメディのバランスが絶妙。
その中心の渥美清さん、無茶苦茶すごいな、本当に。
それと倍賞は美津子さん。

男は涙を酒で流す。女はパンと枕を濡らしているのに。ゲーテ。この辺の捉え方とか、タイトルとか、時代性と言える話になったりしそうな。
単純に「女は度胸」の言葉のニュアンスが今、同じタイトルで作れば変わる部分はめちゃくちゃあるなとおもう。個人的な最初の作品のイメージがずれた部分はそこも大きい。しかしもちろん男も度胸。人間は度胸。人類以外も度胸。みんなで度胸。
そして、あみあみの服の謎の真相やいかに。
矢吹

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