ちろる

靴に恋する人魚のちろるのレビュー・感想・評価

靴に恋する人魚(2005年製作の映画)
4.1
大人のためのかわいい御伽噺。

人魚姫、星の王子様、マッチ売りの少女、シンデレラ、不思議の国のアリス。
随所にちりばめられた童話のイメージをシンクロさせながら、主人公のトトはまるで、御伽噺のプリンセスのように美しく、やさしく、そして幸せな人生の階段を進んでゆく。

でも、物語は子供のためのファンタジーのままでは終わらない。
幸せを手に入れたお姫様は果たして次になにをするべきか?
与えられるだけじゃ終わらない。現代のお姫様が皮肉な運命の残酷さに翻弄されながら、本当に自分に必要なものを見つけ出してゆく。

幼い時足が不自由で、両親が与えてくれたすてきなおとぎ話でしか生きてこなかった少女は、靴に、そして自分自身に執着してしか生きられなかった女性に成長する。

やっと出会えた、大切に思ってくれている目の前の人もドドの中ではおとぎ話の王子様にしか過ぎなくて、目には見えないくらい小さく少しづつ、相手を苦しめていたことに気づかないお姫様に神様の残酷な罰が下る。

ひっくり返されたコップの水はからっぽになったままで先に進めないドドを御伽噺の王子様のようには力強く支えられないドドの夫スマイリー。

不完全な二人がおとぎ話ではない現代の世界の中でどんな風に物語をハッピーエンドに作り上げていくのか。。



おしゃれでかわいくて、女の子なら見ているだけでワクワクする映像だけど、その中にちゃんと胸がはっとするようなメッセージが織り込まれている。
おしゃれ好きな人、靴に目がない人、童話が好きな人には引っかかるはず。
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