dm10forever

ドーン・オブ・ザ・デッドのdm10foreverのレビュー・感想・評価

ドーン・オブ・ザ・デッド(2004年製作の映画)
3.7
【やっぱりザックが好き】

過去鑑賞。
映画館で観た当時はそこまで意識してませんでしたが、これもザックスナイダー監督なんですよね。
改めて感じることは「映像の作り方」が肌に合っているというか、SK-Ⅱのように肌に馴染むんですよね(SK-Ⅱを使ったことはありませんが・・・)。
もともとはJ・A・ロメロ監督が撮った「ゾンビ」のリメイクという立ち位置の作品でしたが、「走るゾンビは好かん」と本家J・A・ロメロ監督に言われてしまうなど、本家「ゾンビ」とは似て非なるものというのが第一印象でしたね。
ただ、オリジナルをぶち壊したという意味ではなく、時代感などを微調整したリブートと言ったほうがあっているのかなと思います。

ゾンビパニック作品を作るとき(観るとき)に感じるのは、あまり起承転結を丁寧に作る必要はないという点です。
凄く穿った言い方かもしれませんが。

①人為的なミスから薬物が漏れ始め、人々がゾンビになっていく
②知らず知らずのうちに主人公に迫るゾンビ
③間一髪で難を逃れるも世界は絶望的な状況
④逃げる道中いい人悪い人に出会う。
⑤スリルとサスペンスの連続
⑥解毒剤(解決方法)を発見する
⑦なんやかんやで多くの犠牲を払いながらも解決する

悪くはないんです。
きっとこれはこれで「一本完結」の観点からすれば後味すっきりの作品になると思います。

ただ「残らない」。

きっと心には何も残らないと思います。
そういった意味でジョージ・A・ロメロ監督の「ゾンビ」が圧倒的な支持を受けたのは、まさにここだったんじゃないかなとさえ思うんです。

「解決方法も脱出方法もほぼ皆無の状況の中で、惨劇の断片だけを切り取った映像」のようなストーリーにすることで、まさに世紀末のような絶望的な恐怖を体感するんだと思います。
走ることも考えることも道具を使うことも出来ないが、無限増殖を繰り返し、ただ人を喰うという事だけを本能的に求めるゾンビというのが、終わりのない恐怖の対象として「ストライク」だと思うんです。
で、この作品でもそこら辺はいい意味で受け継がれていたと思います。個人的にはゾンビ映画は「絶望的であったほうが良い」と思っているので、この終わり方も嫌いじゃないですね。

あとはオリジナルと同じくショッピングモールという局所で繰り広げられるサバイバルというのも「普段何気なく日常的に行っているショッピングモールで繰り広げられる非日常的な惨劇」というギャップが恐怖を倍増させますし、王道の「死亡フラグ」の回収も怠りません。

とにかく「銃が使えて」「車に乗れて」「逃走方法に選択肢があって」と優位性を挙げればきりがないはずの人間が、ただ迫ってくるだけの圧倒的な数のゾンビの群れに次第に追いやられていくって言う過程を楽しむのがゾンビ映画だと思うので、下手に優位な人間がそのまま優位に終わっては面白くもなんともないんです。

寧ろ全く優位な条件を持たないゾンビが数だけで人間を追い詰めていく過程に面白さを感じるんですね。
だからロメロ監督の言う「ゾンビが走っちゃダメ」ってのも一理あるんです。
「走る」という武器をゾンビに持たせたら反則なんです。
彼らは群れる以外は何もない丸腰の化け物なんです。
そこがいいんです。

まあ、そういいながらもちょっとポップというか、オリジナルよりも軽いノリに仕上げているので、よく言えば「見やすい」、悪く言えば「映像ではなく本質を!」という作品。
好きなんですよ。
否定ではないです。

ただ、「ゾンビ映画」という点で言えば、意外と「ゾンビ大陸~アフリカン~」とかのほうが本質的な部分に近いんじゃないかなという気もしました。
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