らんらん

人間魚雷回天のらんらんのレビュー・感想・評価

人間魚雷回天(1955年製作の映画)
4.0
特攻兵器「回天」に搭乗する若者たち(木村功、岡田英次、宇津井健)を中心とした戦争映画

共に訓練を積み生活をして来た仲間たちが次第に減っていき今では半分以下
そしていよいよ残された者たちの出撃が決まり残りの時間は僅か、多くの者は街に繰り出し酒や女で気を紛らわす
木村功もその一人であるが、そんな時恋人の津島恵子が訪ねてくる
一方、一人宿舎に居残った岡田英次は年長者ながら下っ端軍人である加藤嘉や殿村泰司と交流を深める
各自様々な思いを抱えながらもその時は迫る、、、

戦後の戦争映画ってそのほとんどが反戦ものだと思うんだけど、この映画はそんなに反戦って感じでも美談って感じでもなく淡々と現実をって感じ
何か大君のためとかお国のためとかそんなのも特にって感じで、
この時代に生まれて、事ここに至ってはもうやるだけ、流れには逆らえないみたいな、そんなやるせなさ
かといって彼らも人間で若者なので当然悩みもあって、、、

印象に残った場面は
木村功と津島恵子が浜辺を歩いて、実現するはずのない夢を語るシーン
機体の故障からなんとか浮上し、汗だくで生きている喜びを語る岡田英次
あとは残された3人の出撃が迫る中、撤退命令が出て力が抜けた後、再び戦況が変わり全員出撃、ここら辺の気持ちの切り替えの辛さ

特攻兵器って出撃したら生きては帰れないものって当然覚悟はしていて、でもいざその時に機体の故障であったり撤退命令であったりで出撃出来ないこともあって、そうなった時を想像するだけでストレスがやばそう、その時は流れてもいずれ再び出撃しなきゃいけないわけで、、、

その上回天は機体の性能も悪くて操縦が難しく脱出装置もない、訓練中に命を落とすことも珍しくない
でもやるしかないんだもんねー、「回天」って名前からして追い詰められてるんだもん

回天ものでは「出口のない海」を原作、映画両方見ているのでそっちのほうが思い入れが強いんだけど、
こちらは落ち着いた描写が多いながらも戦後まだ10年という時期に作られてるだけあって、淡々とした中に見える現実感が印象的

出演者ではメインの3人も有名だけど、チョイ役で西村晃や丹波哲郎なんかの姿も見えて、それが見れた点でも収穫
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