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何がジェーンに起ったか?のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)
3.5
[車椅子と階段の映画] 70点

『サイコ』の亜流作品で最も成功した作品(らしい)。20世紀で一番仲が悪かったと言われたり言われなかったりするベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードが共演していて、当時の観客は実に楽しんだことだろう。過去の栄光にすがる発狂老婆ものということで明らかに『サンセット大通り』にも目配せしている。そもそもベティ・デイヴィスの顔面戦闘力が高すぎるので、基本的に顔が中心にあって、車椅子であることは『恐怖』みたいな視覚的な高低差導入というよりも、精神的な主従関係の変換と、『RUN / ラン』みたいな"逃げられない恐怖"と紐付ける役目を負っている。車椅子だから二階に押し込められるのも最早必然で、閉じ込められたジョーン・クロフォードの前には階段が立ちはだかる(入っていきなり階段がある家、最高に好き)。想像していた"階段を転げ落ちる"ような展開はなかったが、十分な存在感を発揮してくれた。

終盤にかけてベイビージェーンと同化して幼児退行していくジェーンが、最終的にアイス片手に"こっちはブランチの分よ"と締めくくるのが物悲しい。もっと愛憎劇っぽく悪辣とした感じかと思ってた。ちなみに、本作品の成功で同じような設定の愛憎劇を同じ主演で撮ろうとしたけどジョーン・クロフォードが断って、代わりにオリヴィア・デ・ハヴィランドが呼ばれたのが『ふるえて眠れ』。こちらは童謡の替え歌が好きで推しのジョセフ・コットンが出てるが、内容は普通。
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