ほーりー

何がジェーンに起ったか?のほーりーのレビュー・感想・評価

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)
3.8
共にハリウッドを代表する女優で、ライバルとして有名だったベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォードが初共演したのがこの「何がジェーンに起ったか?」。

実言うと、僕がはじめて借りたDVDがこの作品でした(^ー^)
当時はDVDプレーヤーが家に無かったので、パソコンで再生した記憶がある。

まだ54才だったデイヴィスと約57才だったクロフォード(出生年について色々説があるので)が年齢以上の元女優姉妹を演じたサイコ・スリラー。

かつてはボードヴィルの子役スターとして活躍したジェーン・ハドソン(デイヴィス)は今ではすっかり忘れられた存在で、人気女優だった姉ブランチ(クロフォード)と二人きりで隠遁の日々を過ごす。

姉はキャリア絶頂時に自動車事故によって以来車椅子での生活を余儀なくされていた。事故当時、ジェーンは既に落ち目の女優で、この事故も姉の成功を妬んだジェーンの仕業だと噂されていた。

精神がおかしくなったジェーンを恐怖に感じたブランチは邸宅を売り払って彼女を精神病院に入院させようとするが時既に遅し。

ブランチの計画を知ったジェーンは車椅子の姉を自宅に監禁してしまう。

演技が怖い、メイクが怖い、そしてストーリーが怖い。この手のエンタメ界を舞台にしたサイコ・スリラーでは「サンセット大通り」があるが、それと本作が双璧だと思う。

子役時代の栄光が忘れられず頭がおかしくなったジェーンが自分の持ち歌だった「パパに手紙を」を歌いながら踊り出す。

このダンスが衝撃的で、おばあさんがスカートがめくり上がるほどナマ足を見せてくるのだ。隣でピアノを弾くヴィクター・ブオノの嫌そうな顔に思わず笑ってしまった。

グロテスクな面ばかりが注目されるが、ある人のレビューを読んでて思わず( ゚д゚)ハッ!としたのが、実はこの話はジェーンの成長物語であるということ。

それを紐解くのは、冒頭とラストシーンにでてくるあるモノ。ジェーンはそれぞれどういう反応を示したのか? これがまたこの映画の見所のひとつだと思う。

さて「ジョーン・クロフォードが使った便座にだけは座りたくない」というベティ・デイヴィスのけだし名言(笑)が残っているぐらい、実生活も最悪の仲だったこの二人。

しかしDVDの特典にも書いてあったけど、元々、アルドリッチ作品「枯葉」に出演したクロフォードがデイヴィスと共演できる題材はないかという提案がきっかけで、本作の製作は始まったらしく、デイヴィスも乗り気だったという。

これが真実ならば、この二人が本当に仲が悪かったかはよくわからない。

実際、二人の性格や生き方は違うし合う合わないはあっただろうが、この映画で共演するまでは、もしかしたらご当人たちが敢えて仲の悪いことをネタにしていたのかもしれない。

で、アン・バンクロフトがオスカー受賞した際や次作「ふるえて眠れ」でクロフォードが降板させられたエピソードから察するに、本作の初共演で二人は決定的に犬猿の仲になったという気がしてならんのです(苦笑)

ちなみに撮影監督のアーネスト・ホーラーは、「黒蘭の女」「ミルドレッド・ピアース」を担当した人で、いずれもデイヴィスとクロフォードにオスカーを授けた作品ということで、アルドリッチが二人に配慮して人選したという。

それでてあんなに二人を醜く撮るなんて心憎い。

■映画 DATA==========================
監督:ロバート・アルドリッチ
脚本:ルーカス・ヘラー
製作:ロバート・アルドリッチ
音楽:フランク・デ・ヴォール
撮影:アーネスト・ホーラー
公開:1962年10月31日(米)/1963年4月27日(日)
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