何がジェーンに起ったか?の作品情報・感想・評価

「何がジェーンに起ったか?」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

ヒッチコックにハマっていた時期、似たような映画を探していて「これは?」と友人に勧められて観た一作。当時はその凄さがイマイチ分からなかったが、今は分かる。観ている最中鳥肌が止まらない。

落ちぶれたかつての大女優が狂気にかられるという意味では「サンセット大通り」を髣髴とさせるし、イかれたオバハンに介護されるのは「ミザリー」の先駆にも思えるが、サンセット大通りよりも狂気が増しており、ミザリーと比較して肉体的暴力が控えめなのに圧倒的に怖い。
同じくベティ・デイヴィスが主演を務める「八月の鯨」とシチュエーションこそ似ているが、あちらは平和な雰囲気のまま終わったのに対し、こちらはサイコスリラー&ヴァイオレンス。

車椅子が必要な要介護者が2階に住まわされるという既にえげつない虐待を受けてる訳で、物語が始まった時点でクライマックスなんだよな。何故こんなになるまでヤバすぎる妹を放置してしまっていたのか?に始まり、種々の疑問が作中に頻出する。何故ブランチは声をあげなかったのか?インコを殺されて食事に出された時点で、メモを窓から投げる際に声を張り上げるべきだったのでは?あるいは2度目に家政婦が来た時騒ぐべきだったのではないか?等の全ての疑問をあの抒情的とすら言えるラストシーンの種明かしで綺麗に回収する見事さ。伏線の張り方が細やかで実に丁寧。

映画は①幼少期 ②ブランチ全盛期までのアバンタイトルと、③現在で構成されているので、それらの空白期間に何が起ったのかは作中の会話などから推察する他ないのだが、ジェーンはブランチを介護し始めた時から最悪な女だった訳ではなく、徐々に関係が悪化していったのだろう。幼少期のワガママぶりを見てると子供の時からああいう風だったようにミスリードされるが、若い頃の二人はもっと仲が良かったんだと思う。幼いジェーンが高慢ちきなりに姉を気遣う姿勢を見せる辺りからも、それが窺える。

姉を半身付随にしてしまった負い目から抑制されていたストレスが、長年に渡る付きっきりの介護生活での不満によって表面化し、老化とストレスによる狂気に蝕まれたことで幼児退行と悪意が芽生え、ファンレターとブランチが主演した映画の再放送が元々脆い上に崩れかかっていたジェーンの精神にトドメを刺した。
だから本作は怖いのと同時にとても切ない。
知らないとは言え隣の奥さんの行動が逐一裏目に出てもどかしい。

小鳥やネズミを食事に出してゲラゲラ笑うシーンも怖いが、やはり嗄れた声で「パパに手紙を」を歌うベティ・デイヴィスの不気味さよ。

全然関係ないが、パニック状態のブランチが車椅子でグルグル回る俯瞰ショット、シンプソンズだかでパロディされてたのを思い出して怖いシーンなんだけどちょっと笑ってしまった。
りっく

りっくの感想・評価

4.5
露悪的な性格描写、むき出しの激情、ねちっこい暴力性、ベテラン女優たちの厚化粧をさらに誇張する不気味なモノクロの陰影など、すべてが異様で悪夢的な密室劇の傑作。奇矯な老女たちの心の奥深くに分け入り、そこに打ちひしがれたものたちのうめき声を聞くのである。

特に老醜の元人気子役を演じたベティデイビスの演技は圧巻。いまも彼女はベイビージェーンの衣装に身を包み、酒で荒れた声で怒鳴り散らし、姉が可愛がる小鳥やネズミを殺して、食事として出す醜悪な嫌がらせを繰り返す。

彼女はピアノ教師を雇い入れて復活を夢見る。貧乏教師の心無い褒め言葉を間に受けた彼女は、在りし日のリボンとドレスを身にまとい、鏡の前で少女の表情で歌い踊る。その姿は常軌を逸しており、それでいて痛々しく哀しい。

そしてラストの海岸。胸躍らせるアイスクリームを舐めながらはしゃぐ彼女は完全に少女の心に戻っている。そこで姉から語られる嫉妬に狂った真実は救いがない。悲劇の姉妹を、美しい景観の中に溶かしこみながら、慈しむようにその幕は閉じられてしまうのだ。
ShoseiH

ShoseiHの感想・評価

3.4
きめえ
th

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3.5
面白かった。怖い。
最初から「もう1回見る?怖くないよ」 のドキドキ、アルドリッチ監督。
Funazo

Funazoの感想・評価

3.7
姉のブランチに対して意地悪で過去の栄光を忘れられない哀れな醜い女になったジェーンがインパクトがあった。特に、姉の飼っていた鳥を食事に出した場面が印象的。
uni

uniの感想・評価

4.0
モノクロ映画で、ヒッチコックみたいな効果音の古臭さがたまらなく良い!
古いけれども内容は全く古くない。
老醜をあそこまで徹底的に演じたベティ・デイビスはすごい女優です。
ジョーン・クロフォードが静かに恐怖に震える演技がベティ・デイビスの狂気を一層際立たせる。
ラストまで目が離せませんでした。
ベティ・デイビス、ジョーン・クロフォードという二大女優の共演で話題になった作品らしい。全然知らないけど...

ジェーン・ハドソン(ベティ)とブランチ・ハドソン(ジョーン)の姉妹。子供の頃、歌と愛らしさで一世を風靡した妹ジェーン、それを見ていた姉ブランチ。
ところが大人になると立場が逆転、女優として成功したブランチ、大人になっても過去の栄光が忘れられないジェーン。そんな時にジェーンが運転する車の事故により、ブランチは両足麻痺の重症を負い、女優生命を断たれてしまう。
そして現在、年老いたブランチはジェーンに面倒をみてもらう立場に変わっていた。ジェーンは贖罪のためか、姉の面倒をみているが、度々嫉妬や憎しみの感情に支配され、徐々に姉に対する態度も変わっていく。そして異常な行動はエスカレートしていき...

高齢な二人の演技が凄い作品。特にベティ・デイビスのなりふり構わない感じの演技が怖すぎる。化粧も怖いが、少女が成長しないで大人になったような、それでいて壊れているような振る舞い。そしてショッキングなシーンも...トラウマになりそうでした。ジョーン・クロフォードの苦しげな演技、彼女の大きな瞳の演技も良かったです。恐怖が伝わってきました。

ベティに絡む売れないピアニスト役のヴィクター・ヴオノ、家政婦役のメイディ・ノーマン、隣に住む女性役のアンナ・リー、脇役も存在感があって良かったです。

物語はラストで意外な展開になるのですが、
横たわるブランチ、踊るベティ...印象的で記憶に残るシーンでしたね。
モノクロだったので映像に抑制が効いていて良かった。カラーだったら生々し過ぎだと思うので...(笑)
オープニングクレジットがかっこいい。
そして何より主演2人の怪演が素晴らしい。
愛憎入り乱れる姉妹の話で楳図かずおの短編で似たような話あったなぁとか思ったり。
ラストシーンが印象的。
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