2時間半を感じさせないテンポ感。
デ・パルマやゴッドファーザーとは一線を画す、ヒロイズムを排除したリアルさ。
しかもヘンリーは何一つ成し遂げないw
同じギャング・マフィア映画でも、アプローチが全く違っていて面白い。
それから何はなくとも、
デ・ニーロの格好良さですよ。
Creamのサンシャイン・ラヴからの煙草をくわえるシーンは本当に好き。(というよりそのシーン以外も終始デ・ニーロに釘付けになってた)
ギャング映画といえば、アル・パチーノに多い役柄のように筋を通す男は言わずもがな魅力的なんだけど、本作のレイ・リオッタ演じるヘンリーのような「欲に負ける姿」「裏切りの姿」も、言い方はヘンだけどセクシーに映った。頑張っちゃってる男の悲哀というか。
トミーが笑い話をしていて、ヘンリーが合いの手を打ったら急に「何がおかしいんだ?」と凄むシーンもいいよねー。
普通だったらヘンリーの表情にクローズアップしそうなところを、全員の表情を画面に収めることで「場の空気が凍りついた」ということを示しているんだろう。
あのシーンひとつで、普段から「空気を変えるほどの危険な人物」として認識されてるのだと察することができる。
実際、いとも簡単に素人の兄ちゃん撃っちゃうんだからヤベー奴。
この作品で一番凄いと感じるのは、相当事実をなぞってるらしいという事。
実話ベースの作品は、物語に嘘が無いほど映画としての面白味が欠けてくるわけで、それはある程度はしょうがないものだと受けて入れてる。
でも、この作品を観ると、編集や音楽やナレーションやテンポなど、全てのバランスを神の領域に近づければ、面白い映画が作れるんだなと思わされた。
自分は、「言葉で心情を説明しちゃうのってどうなの?」と思いやすいタイプなんだけど、本作の場合、ナレーションが異常にテンポ良くて、ラップを聴いてるかのように気持ちよく聴いていられるんだよね。
ヘンリー、背伸びすんな。