KKMX

グッドフェローズのKKMXのレビュー・感想・評価

グッドフェローズ(1990年製作の映画)
3.8
 自分の中でデニーロブームが起きたため鑑賞。名作と謳われるのも理解できるスムーズで面白い作品でしたが、深いところには刺さりませんでした。
 ま〜ネトフリで観るガーエー(音楽ドキュメンタリー除く)なぞそんなもんだろうなぁと今の所タカを括ってます。


 ガキの頃からギャングに憧れているバカ・ヘンリーの愚かで間抜けな半生が描かれる作品。ヘンリーの自伝がベースとなっており、かなりノンフィクションに近い作品のようです。ナレーションも基本ヘンリーで、ギャングっぽいイカツい事をたくさんのたまってました。
 ヘンリーと結婚する女・カレンもヘンリーにピストルを手渡されてムラムラするバカ。2人は結婚しても常に揉めており、空族の『国道20号線』を連想しました。ヘンリーとカレンのシーンは結構たくさんあり、終盤以外は完全カットでも良さそうなつまらなさでした。


 本作の面白さは異常なテンポの良さと、ヘンリーの仲間である、トミーとジミーのキャラが濃い点にあると感じます。

 ヘンリーの仲間でジョー・ペシ演じるイタリア系のギャング・トミーはガチの狂人。衝動コントロールがまるでできず、キレるとカタギだろうがマフィアの大物だろうがブッ殺すという、めちゃくちゃスリリングなキャラでした。バーの兄ちゃんを突如銃殺するのにはビビった!しかもそのエピソードも実話。トミーヤバすぎます。そんなイカれ人間トミーはママと一緒に住んでいて、親子仲良し。もう異次元!最高!
 ジョー・ペシの甲高い声も相まって、とにかくトミーが出てくると『さぁ盛り上がってまいりました!』みたいなワクワク感が湧き上がるので、トミーが登場すると集中力が戻りました。

 推しメン・デニーロ演じるジミーは、ヘンリーの兄貴分で、落ち着いていてリーダーシップもある男。頼りになるしカッコいいけど、物語が進むとこの男自分のことしか考えていない、心の底からのギャングであることがわかります。大きなヤマを成功させるものの、手下たちがハデな振る舞いをはじめてバレそうになると、手下どもを皆殺しにするという冷徹さ!いや〜人間っぽさ無いわ!

 トミーとジミーという、ナチュラルボーンギャングに比べると、ヘンリーはあまりにも小物。前者2人は基本良心というものが存在しないんですよ。他人は搾取する対象であり、ジャマならば消すだけ。
 3人でバラした男の死体が掘り起こされそうになり、先に掘り起こして証拠隠滅するシーンがあります。この時トミーもジミーも「おっ、手羽が出てきたぜ!」とかジョークをカマしながら楽しく作業してましたが、ヘンリーは嘔吐してました。役者が違うんですよ。
 ヘンリーは後半、ファミリーで禁じられていたドラッグの売買に手を出し、自らもジャンキーになっていきます。つまり、ギャングの世界で正気を保てるほどのワルじゃないんですね。


 ヘンリーはギャングに憧れてます。そして念願叶いギャングになりました。しかし、本作を観るとギャングは憧れてなるものではないですね。そうやって生きるしかないトミーやジミーみたいな輩が結果的になって行くもののような気がしました。

 グッドフェローズ(気の置けない仲間)と言っても、結局は保身しか考えていないため、彼らの絆など雲散霧消します。ブタどもに友情などないのです。


 クズどもの生態が生々しく描かれており、スコセッシも本作のマインドはドキュメンタリーだと述べているとこのと。その意味では、ゴッドファーザーのような壮大さもなく、『ザ・ノンフィクション』的な面白味があったと思います。
KKMX

KKMX