某所その3
文句なしに面白かった。フェリーニが『甘い生活』、アントニオーニが『情事』、ヴィスコンティが『若者のすべて』を撮ったころの作品なんだね。
篠崎さんに教えてもらったんだけど、バーバラ・スティールの顔にシワが入ったり消えたりするシーンは、ライティングの技術だけで撮ったんじゃないかという。赤いシワに赤い光を当てるとシワが消えちゃうわけだよね。映画は白黒だから、赤というのはわからない。なるほどね。そういうローテクだけど、天才的な閃きによって成り立っているホラー。これが映画だよな。
あとバーバラ・スティールが、胸をはだけると、そこに十字架が光っているシーンが最高。なんのことはない、お決まりのシーンなのだけど、絵がいいとまったく違うものになっちゃうのよね。その際立つエロスが、タナトスを際立たせるわけで、そこがバーヴァの映画の核心にあるわけか。