回想シーンでご飯3杯いける

花様年華の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

花様年華(2000年製作の映画)
3.3
香港のウォン・カーウァイ監督による作品がNetflixでいくつかラインナップされていたので、早速未見の本作を鑑賞。作品が作られた時代的には香港特別行政区となった直後ではあるけれど、赤地に白の明朝体で漢字のタイトルがバーンと出るオープニングは、僕達が持っていた当時の中国大陸のイメージそのもの。登場する女性は皆チャイナドレスを着ているし、人が集まればマージャンもする。そうした異文化を満喫できる映像としての魅力が、まずひとつ目のポイントだと感じた。

一方で、アパートを舞台にした群像劇は「ティファニーで朝食を」や、フランスの「アパートメント」を思わせる。長らく続いたイギリス植民地時代の名残というべきか、演出面では欧米の影響が強く感じられる。それが、同じアジア圏でありながら日本の映画と大きく違う部分であり、映画通に評価されたのも良く分かる気がする。ブルース・リーやジャッキー・チェンとは全く違う、香港映画の新しい一面である。

同じアパートの住人に恋をしてしまう既婚者を演じるトニー・レオンとマギー・チャンも、ビジュアル的にはアジア人でありながら、演技はどこか欧米のそれを感じさせる。