軽快な音楽に乗って絵巻物を広げていくようなオープニングの長回しに目を奪われる。どうやら有名なシーンらしく映画素人でも唸らされる魅惑のひと時。
国境を超えると軽快な音楽はやがて耳をつん裂く轟音に…。このむごたらしい事件に端を発して展開されるドロドロの捜査はプロット大盛りでお腹いっぱい状態。キツネにつままれたような終盤ではとうとう消化不良に。理解力と整理整頓力が欲しいところ。人間の情念や心理が錯綜するあたりは見どころであった。
主要捜査官を暑苦しいオーソン・ウェルズと髭が似合ってないチャールトン・ヘストンが好演。それ以上に脳裏に焼き付くのはマレーネ・ディートリッヒ。全てを持ち去ってしまうラストシーンは50代後半でも圧倒される妖艶さと存在感!