yoichiro

賭はなされたのyoichiroのレビュー・感想・評価

賭はなされた(1947年製作の映画)
3.3
2月20日 DVDで鑑賞
実存主義の作家サルトルが、この映画用に書き下ろした脚本に基づくシニカルなファンタジー。
独裁政権が支配する街で、暗殺された革命運動の指導者である労働者と財産を狙う夫に毒殺独裁政権の秘密警察の高官夫人が死後の世界で出会い、実は運命の二人だったので、もう一度出会うチャンスを与えられて、生き返るが・・・という話。
死後の世界ではお互いの気持ちに偽りはなくても、生き返ってみると色々としがらみがある。セレブ夫人と労働者の男がつきあうのは、やっぱりどちらの階級でも冷笑や不審を買い、本人の思いとは別の事情で上手くいかない。「身分違いは不仲の元」なのだ。
結局、死後の世界に戻った二人が、「じゃあ、又ね」と別れ道を去っていく皮肉なラストは、もうこの二人は再会する事はないのだろう、と暗示させている。
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