ゴトウ

ヒミズのゴトウのレビュー・感想・評価

ヒミズ(2011年製作の映画)
4.0
原作は未読だが、震災、原発後の日本が舞台に設定が改変されているみたい。大災害の後に変わってしまった国と人々が次々に描かれる。宮台真司が原発問題を切りまくるコメントをBGMに意図しない殺人が起きてしまうシーンとか、エキサイティングだけど諸手を挙げて歓迎できない描写の連続。登場人物が豪華!園子温の映画ちゃんと観たの初めてだけど、監督の作品には常連なのかな?でんでんと窪塚洋介がめちゃめちゃかっこいい。
「気がついたら死んでた(で埋める)」描写と体を汚す描写が特に気になった。やっぱり「一度人を殺した人間は報いを受ける」という結末になるのかな、と思って見ていて、泥を落とした後に自分で絵の具を顔に塗りたくるところで「悪いやつかイカレたやつしか生き残れない」みたいな結末かと思ったら少し違った。子供に対してお前はいらないと言い続ける親、優先席に座る若者を罵るおばさん、優先席は強制じゃねえだろ!とキレる若者、(誇張されているにしても)全部どっかで見たような、あるいは心当たりがあるような息苦しい感じなんだけど、最後の最後、冒頭で主人公に反発された「夢を持て」という教師の説教が、あながち捨てたもんじゃないかもという着地は綺麗だった。
住田くんが自分で「がんばれ住田!」と叫び始めるのは、みんな住田になってるよと言われてるような気がした。デスノートもスパイダースーツもなしに悪い奴らを消したければ包丁か銃に頼るしかないし、エヴァンゲリオンも変身ベルトも「普通になる」「立派な大人になる」時にはなんの役にも立たない。地球を守るよりよっぽど難しいよなぁ。で、二階堂ふみにとっては自分の理想の男を作り上げるストーリーでしかないってところも皮肉。自分のストーリーに酔っ払って泣いてるだけで、本当に住田くんのこと忘れそうだもん。
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