やま

ヒミズのやまのレビュー・感想・評価

ヒミズ(2011年製作の映画)
4.0
圧倒的世界観にただ見惚れる。
久々に鑑賞したが、面白いな〜

主人公は普通なんだと言い張るが、どう見ても普通じゃない。境遇とかもそうだし、行動、言動もそう。考え方から普通じゃない。そんな特別な彼に惚れる、また普通じゃない女の子。そんな彼ら二人のラブロマンスを交えた、人生の一瞬。

考えてみると、普通ってなんだ?とか、思わされる。例えば、小説家であったり映画監督の生い立ちなんかを調べると、僕から見てとても普通と思えない人が多い。それは結果大物になってるから、普通じゃないことが素晴らしいように思える。僕自身も特別でありたいとか思うこともある。

でもこの映画で描かれる普通じゃない人々ってのは、犯罪者。彼らは普通だと自らを思っていたんだろうけど、ある一線を超えて自分は普通じゃないんだと気づく。普通の人になろうと努力するんだけど、難しい。そんな時に誰と出会うか、それが彼らを普通の人間にさせるきっかけになるのかもしれないとか。また逆であったりとか。

この映画を見ると、普通に生きるっていかに難しいことか思い知らされる。ある日突然地震が起きて、普通の生活が送れなくなったりだとか、家族と離れ離れになるとか。もしかしたら、特別な人間よりも、普通の人生を送る人間の方が大変なのかもしれない。

ラスト彼女は住田に、戻ってきたら二人で小さなアパートで暮らして、子供を作って、普通の生活をしようと泣きながら送り出した。エールを送りながら、二人は走る。走る二人の1本道に重なる、震災後の崩壊した街。彼らの道のりは、崩れて、先が見えない。彼女は首吊り台ようなものが完成した時殺されてしまうのではないだろうか。彼らは、普通の暮らしができないんじゃないだろうか。そう考えると胸が痛い。
やま

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