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ヒミズのgonzaのレビュー・感想・評価

ヒミズ(2011年製作の映画)
3.0
さて、『ヒミズ』観ました。
映画版は原作と違ってなんか前向きだって噂と、
twitterで観た人の感想が気になったのとで、
「んじゃ観ようかな~」と重い腰をあげる。(笑)
 
んで感想。
う~ん…やはり重い。そして暗い。(苦笑)
でも原作と違って『希望』はあったかな?と。
原作の何の救いもないラストを考えれば、
映画での結末は、原作を読んで澱みきった僕の心を僅かながら救ってくれた。
この作品って『火垂るの墓』とある種同じなんだよね。
主人公の歳がお互い14歳ってのもあるし、子供だと、この物語に訪れる出来事の数々を、
どう処理すりゃいいのか、考えが及ばない。
 
それは『頼る事』と『甘える事』が一緒だと考えているからだ。
 
主人公・住田は大人全般を敵視している。
いや、自分以外の人間すべてを敵視しているのかもしれない。
だから独りでこの状況をなんとかしなくちゃ、と躍起になっていた。
 
だが、その状況の多くは自分自身が招き寄せた『縁』に他ならない。
 
汚い大人たちに囲まれ、挙句「お前なんかいらない」と親に吐かれ、捨てられ。
自分が不必要な人間だと思い知るには十分すぎる仕打ちだ。
それは住田くん自身の『うらみつらみ』が呼び寄せた『縁』なのだ。
そして逆に住田くんを慕い、想いを寄せる人達もいる。
それもまた『縁』なのだ。
 
『波長同通』。それがこの映画の底辺にある。
 
僕は正直、漫画原作には異議あり派なので、映画も同じモチベーションだと思ってた。
でもラストをひっくり返してくれた事で、たったそれだけで救われました。
『希望』は確かにありました。
 
映画の冒頭で先生が言っていた「夢を持とう」って言葉を、
最初は住田くんも茶沢さんも否定していたけど、
ラストでは警察に自首する道すがら、頑張れと叫びながら走っていってる。
映画観て「やっぱそーだよな~」と思ったし、それが人生のすべてなんだよね。
 
ずーっと一貫して「お前らみたいなクズにはならねェ!」、
「立派な大人になってやる!」って、住田くんは叫んでたけど、
そこはスタートラインに過ぎない。
本当に立派な大人ってやつは夢を叶えた人間の事をいうんだと思う。
その過程で出会う人間、事柄を飲み込む事こそ成長なのだ。
 
映画のラストでふたりはようやくスタートラインに立てた。
そんな気がします。
 
個人的には住田くんの孤独は理解できる。
思春期にはよくある感情だし、自分を誰も理解してくれない、
っていう疑心暗鬼と被害妄想はこの頃にはよく襲ってくる。
でも僕の場合、救ってくれたのはロックンロールだった。
爆音のロックだけがこの頃の唯一の救い。
美人の同級生に心配される事もなかったしね。(笑)
 
本当の孤独ってのは、周りに理解者がいない、
愛してくれる人が誰もいない、という事じゃない。
「僕は、私はこれだけは譲れない」というものを一つ持っていないこと。
その心に情熱の炎が灯らない事を言うんだ。
 
何かを好きになれれば、生きてるのが楽しくなるし、
自分が誰なのかも必然と思い出せる。
 
だから『夢』って大事なんだよ。
 
しッかし、園子温監督、どんだけ神楽坂恵使ってんだよw
嫁はんの色気半端ナシ!(笑)
まぁ色っぽいしイイんだけどさw
 
gonza

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