菩薩

ポリー・マグーお前は誰だの菩薩のレビュー・感想・評価

ポリー・マグーお前は誰だ(1966年製作の映画)
4.0
人々が宇宙に向かっていた時代のシンデレラストーリー、だがいくら待てども白馬の王子など来やせんし、そもそも「ポリー・マグー」などは存在せん。いや本来は存在していたのだが、ポリー・マグーはもはや=ファッション、ただのマネキンと化し、メディアに寄って創出された偽物の潮流は、女達から胸もお尻の膨らみも奪い、丸みを帯びていた女性の身体は、直線のアルミニューム板で造られたロケットの様になってしまった。王子はポリーに恋をして、ファッションに囲まれた部屋で一人妄想に耽る。「お前は誰だ?」と彼女の内面に迫るドキュメンタリー番組が作られるが、仮面の下にはまた新たな仮面が存在するだけであり、彼女は自分がもはや誰かすら答えられない。流行を流す者と流行に流される者、ファッション、とは一体何者で、何の為に存在しているのか。自己表現?それは即ち自己損失と自己回復の連続作業、ポリーは人混みへと消えて行き、ようやく辿り着いても王子は彼女を抱きしめられない。メディアは今日も世界の一部分だけを切り取り、そして我等は躍らされる、生まれては消え、また消えては生まれる流行と言う怪物に追われながら。ポリー・マグー、お前は誰なんだ?俺は一体、誰なのだ。
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