ろ

Tommy/トミーのろのレビュー・感想・評価

Tommy/トミー(1975年製作の映画)
5.0

「僕を見て。僕を感じて。僕に触れて、僕を癒して。」


「オズの魔法使い」と「ベンハー」と「十戒」を足して強炭酸で割った上から「ロッキーホラーショー」をギュッと絞ったような、宗教×哲学の最強ロックミュージカル!おもしろかった〜!

映像からメッセージがどんどん、どんどん溢れてきて、(これは、こういう意味かな?)って考えて夢中になって楽しくて、2時間が一瞬で通り過ぎていった。

映画の続きみたいな気分で、また街の人混みに紛れて同じ方向いて歩いていたら、まるで映画に出てきた“流行りに乗っかって信仰してみたけど、なんか違うなと思って結局デモを起こす信者”の一人になった気がした。


ある事件をきっかけに、目も耳も話すことも不自由になってしまったトミー。
大人になり、ピンボールの王者となったトミーに奇跡が起こる・・・

身体・視覚障害者が集う教会。
壁には様々なポーズのマリリンモンローが描かれ、マリリンモンローの面を被った信者たちが列をなす。
神父(エリック・クラプトン)がエレキギターを奏でる中、「七年目の浮気」のあのポーズのモンロー像が登場。
信者たちはありがたやと手を合わせ、まるで香閣から上る煙を浴びるように、モンローのスカートに触れて心を清めていく。

一躍有名になった息子が映るたび、チャンネルを切り変える母親。
けれどテレビは「現実を見ろ」とばかりに、トミーを映し続ける。
酒瓶をテレビに投げつけた。
割れた画面から洗剤、煮豆、チョコレートが止まらない。真っ白な壁、サテンのベッドカバーは瞬く間に汚れていく。
「お金持ちになってあれもこれも手に入る。だけど虚しいのよ」
嘆く母の、アイメイクが黒く滲んでいる。


何も見えないはずのトミーは鏡の中の自分を見つめていた。
ついにその鏡を突き破った。ガラスが割れると、現実との隔たりは一気に取っ払われた。

ピンボール王者から、今度は救世主として名を馳せることになったトミー。
屋根の上でもハンググライダーの腰掛でも座禅を組むトミーに人々は熱狂。
サングラスを掛けたら耳栓を、コルクで口に栓をして、さぁみんなでピンボール。トミーのように悟りを開こう。
しかしそれも長くは続かず・・・


ひとり山に登り、頂上から太陽を浴びるトミーにはもう、誰のことも見えないみたいだった、気にならないみたいだった。自分を探求することを極めたように見えた。
「ロケットマン」を観たときと同じだった。
私は本当に羨ましくて、早く追いつきたいな、今の私の目標だなと思ったんだ。
オレンジやキイロのエンドロールを眺めながら、猛烈に哲学がしたくなっていた。





( ..)φ

トミーのママに色目を使うお医者ニコルン(ジャック・ニコルソン)、チャンピオン(エルトン・ジョン)のピンボールに付いてるちっちゃい子が弾くようなミニ鍵盤など、好き~~がたくさん!
中でも、森で対立してた不良グループがトミーを見つけた瞬間(トミーは半裸でハンググライダー飛行中)、急にニコニコになってランラン踊っちゃうところがもう最高!
ろ