拘泥

Tommy/トミーの拘泥のレビュー・感想・評価

Tommy/トミー(1975年製作の映画)
4.3
おもしろかった!想像してたより断然真っ直ぐで伝わりやすいシロモノで楽しかったわ。

ロックオペラとかいうことでほとんどアルバムの通りに進んでくようで、ザ・フー全然聞いたことはなかったけど曲はめちゃくちゃかっこよかった。

話はヒッピー共とその中で流行ってた東洋思想ってか宗教ってかがムンムンだった。実はザ・フーでババオライリーって曲だけは何故か知ってて、ババさんはインドの導師で曲作ってる人がズブズブだったんだってね。

See me Feel meと訴え続けながらも断定的にカワイソーな人扱いしてしまう母ちゃんとの関係はしんどかった。出産した時の母ちゃんの顔はメタクソ美しい顔で、本当トミーを愛してるんだけども空回りがやるせない。そしてこんなに愛しているのにお前はどうして、と、わかるよ母ちゃん。わかるけどダメなんだよなあそれ。

やっとトミーが戻ってきたらきたでまた痛々しくてキツくって。母ちゃんのニコニコ顔がもうしんどいわしんどいわ。
最終的にSee Meと言うことさえ必要なくなった孤独に到達したトミーは完全に解放されたように映し出されるけど、皮肉というか、雰囲気のまんま受け入れることはできねえわな。すげえ美しいシーンだった。

視覚的にはケンラッセルの軽いシャブみたいな映像が延々続くんだけど、それが思いの外、直線的というか直情的というか、分かり易い。
全体的に十分に楽しい一方でずっと真っ直ぐ過ぎてちょっとうるせえなってかやり過ぎだなって思うこともあって完全にのりきれなかった。パッときてパッと消費して終わっちゃう。後からア“〜…ってならない。最後の流れはその辺もバランス最高だったな。あの辺は本当良いシーンだった。まあこれらは完全に自分の好みでしかないわな。

演出の本質は全くもって違うものの、所々ホドロフスキー的なものを感じさせた。確かに作品としてもホドロフスキーの行い的な部分も少しある気がするわ。
これがそれこそホドロフスキーだったら多分もっと何回も観たい映画だったろうな。

特にシャブ漬けアイアンメイデンはそれ自体はマシーンヴァギナに匹敵するぐらい超素敵な美術だと思う。
ただシーンとしてはティナターナーの歌とはしゃぎまくる顔面は最高なものの、あれ自体で素敵なシャブ漬けアイアンメイデンがトリップ映像の奉仕にあれやこれやと利用されてうるさすぎて、楽しい一方やはりあんま心に残らない。

観賞後はザ・フーが携帯に入ってねえんで、しゃあなしで代打Child in Timeで一本吸って良い具合でした。
拘泥

拘泥