よくある王宮周りの権力争奪戦かと思ったら、そうではなく恋愛ゲームの話だった。暇を持て余した貴族たちが、ある女性を口説き落とせるか賭けをする。
典型的な韓国時代劇とは少し違った。
振り向かせるための方法はレトロ。お土産を渡しにくるとか、図書館(兼本屋、兼出版社？)で偶然出会うとか、悪漢に襲われそうなところに駆け付けるとか。
慈善(寄付行為)というのは素晴らしいですねー、と浅いことを言うウォンに対し、スクは所詮私の自己満足です、と崇高なことを言う。
一方的なのに積極的な愛というのは、相手にとって迷惑でしかない。一向になびかないスクの気持ちを思うと、その様子は少し苛立たしくストレスが溜まり、やや長く感じた。
高度な心理戦はなく、実際はどちらも相手を好きではないので、どこにも感情移入できるところがなく、前半が冗長。
人を騙し続けてきたウォンは、自分が誰なのか分からないと言い、自分の本心も分からなかった。
ウォンをけしかけたチョ婦人も、好きな人と結ばれなかった現実との折り合いをつけるため気持ちを隠し自分を偽りながら生きていた。本当に愛するのは一人であるからこそ。
結局、最も難攻不落と思われたスクが一番早く自分の気持ちに気付き、そこから思いを偽ることはなかった。
気付かず、しかも偽っていた人々は、後悔することとなった。
見栄やプライド、他人を出し抜くことばかり考えていると、自分を見失う。大抵は手遅れになってから気付く。
エンドロールも最後まで観ること。
強姦シーンがあるのでR18なのかとも思うが、若い女性こそ勉強のため観た方が良いかも知れない。ベッドシーン自体はそこまで激しくはない。
男性のかぶっている帽子(カッ[갓］)は、夏用なのか透けるメッシュ素材でできていて、あのちょんまげのようなお団子のような髪がちょうど収まるようになっているのだと知った。
メモ
天主教……キリスト教カトリックのこと。中国や朝鮮での呼び名。
