勝沼悠

ペーパーバード 幸せは翼にのっての勝沼悠のレビュー・感想・評価

3.8
 スペイン内乱で妻子を失った芸人が親を失った子どもと一緒に生活しながら少しずつ芸を教えていく。

 戦争で子どもを失った男が少しずつ新しい親子の絆を培っていくストーリー。戦争がいかに人の心や人生を傷つけるか、再生がいかに大変かが描かれている。
 芸で使う犬が盗まれて劇団を去る老夫婦が出てくるが、こういう生活をしている人達がいかに弱い存在か。本来は政治はそういう人達の為にあるはずだが、力になるどころか傷つけてくる。だから争いが生まれる。軍が劇団にスパイを送り込むという設定が面白い。
 タイトルがペーパーバードであることを納得する美しいラスト前シーンは誰しもグッとくるものだと思う。

 話を綺麗にし過ぎる感もあるが、ヨーロッパならではのキメの細かさが光る一本。
勝沼悠

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